立花香里
私は立花 香里。
家庭の事情で都内に引っ越して来た。
家庭の事情…といっても、一人暮らしだ。
何故、一人暮らしかって……?
過去の事件により、私は両親を失ったからだ。
私が中学二年生の頃に、私が学校に行っている間に……
空き巣に入って来た泥棒に……
殺された。
犯人は無事に捕まったが、私の心の傷は一生、癒えない──
両親が亡くなってからは、祖父母にお世話になっていた。
しかし、高校に上がる時には祖父が亡くなってしまい、祖母と二人になってしまった。
祖母は病気を患っている為、今は介護施設で暮らしている。
祖父母の知り合いが、私の住んでいるアパートの大家さんなので、そこに住まわせてもらっている。
生前、父が大事にしていた竹刀と日本刀──
自分を守る為、大切な人を守る為に大事にしていたそう。
一人暮らしする時に荷物と一緒に持って来てしまった。
後は、母が大事にしていた風呂敷。
この形見は必ず、絶対に守らなければならない。
この形見と一緒に居る瞬間が、私の傷ついた心を少しでも癒やしてくれるのだ。
「お父さん、お母さん……」
しかし、今でも父や母の夢を見てしまう。
会いたい、抱きしめたい、一緒に居たい──
祖父母にはずっと隠して来たが、父、母を失った悲しみは計り知れない──
そして、父や母が出逢ったきっかけとなった青嵐学園を見つけて、ここまで来た。
「父や母が通った学校……」
私は父や母の面影を、何時までも探してしまっている。
いい加減、吹っ切れて立ち直れば良いかも知れないが、
私には……無理だ。
時々、あの場面が
あの状況が、フラッシュバックされる──
思い出したくもない、あの頃が……
蘇ってしまう──
私は、変わることが出来るのだろうか。
私は、この嫌な…残酷な思いから……
抜け出せるのだろうか。
もう、嫌だ。
思い出したくない。
誰か私を助けて──
誰か、私の傍にずっと居て──