似て非なる海人くんたちの話6(あっとほーむさーすでい)
元々考えてたやつボツって書いた。しかし、いつもより短い。みじかいんだよおおおおお。
「こんにちはぁ」
「ちゃあ」
屋敷にきたのは可愛らしいお客さんだった。最初に入ってきたのは癖っ毛のある長めの髪を結った少年。もう一人は少年より小さいショートカットの女の子だった。
「もーう……二人とも、お父さんは今日はお仕事って言ったでしょう」
「でもぉ……」
「ママー」
あとから来た母親の姿に屋敷にいた皆が息を飲んだ。
「あのっ……」
最初に声を出したのは屋敷の主の隣にいた聖女だ。
「はい」
「どちら様でしょうか……」
母親は深くお辞儀をしてからこちらに向かって自己紹介を始めた。
「失礼いたしました。わたくし、ブルノワールさんの妻、元アローラ国第一王女、スピナ・アローラでございますわ」
スピナは美しい女性だった。腰まで届く癖っ毛のある長い髪はガーネットのように赤い。汚れのない深緑の瞳。着ているドレスは彼女の高い身分を表し、スタイルのよさを引き出していた。
「ほら、二人も挨拶」
「チェーロ。チェーロ・アローラ。親父からは空太って呼ばれてる」
海人達のような青い髪は一つに束ねていた。母親に似た癖のある髪。瞳は、燃える炎のように赤かった。
「祖父さんの目の色と一緒なんだぜ」
と彼は教えてくれた。
「テ、テラっていいましゅ……」
女の子はスカートの裾を持ち、礼儀正しくお辞儀をしてくれた。スピナと同じ赤い髪をきっとお父さんに似せているのだろう、ブルノと同じ髪型にしていた。琥珀のような瞳はきっとチェーロと同じく、祖父と一緒だろうと思われた。
「こいつは大地って呼ばれてるんだ!」
とチェーロが付け足した。
「ところで、何をしにここまで来たんですか?」
三人を客間に案内したところで、白雪がやっとの思いで訊いた。
「少しお散歩に。私たちは、海が近い、水の都と呼ばれるところに住んでいますの」
「ブルノって良いとこ住んでたんだな……」
「しかも、美人の奥さんと可愛らしいお子さん二人って……」
ヒソヒソとまわりが話始めた。
「あの……主人がなにか?」
「い、いいえっ!なんでも!」
そのとき、玄関の扉が開いた。
「あーあ!!疲れた。茶ぁーくれ、茶ー」
響くような大声で帰ってきたのは、白スーツのあの人、ブルノワールだった。現在は白ではなく、闇夜に溶け込めるような黒いスーツに身を包んでいた。それが彼の本来の姿だった。青黒という名前の彼が白に身を包む理由はまた違う話。
「親父!!」
「パパン!」
子供二人が声の方へ走っていった。
「空太!?大地もいるのか!どうしたんだよーこんなところにまで来てぇ」
彼が二人を抱き締めていると、スピナも出てきた。
「スピナ……」
「フフッ……偶然ね!ラッキー」
「相変わらずテンションが高いな」
一瞬にしてアットホームな空間が生まれた。
「でも、ブルノはあの若さで死んじゃうんだよな……?」
「物語ではね」
仲睦まじい親子を見ていると、そんなことどうでもいいように思えてきた。
「幸せってすぐに過ぎてしまうんだよね」「しょうがないんじゃないかな?結局はメールみたいに違う人が死んでも悲しい終わりかたがあるんでしょう?」
メールの問いに、聖女が答える。自分達の物語その物だった。
「そういや、帰ってくるときに糞魔法少女から菓子と友達の家に泊まりにいくって伝言と、あと哀音を拾ってきた」
「あーいーねぇー!!」
哀音の姿を見たとたん、あやめの顔に怒りが生まれた。
「だから、俺じゃねええええ!!」
哀音の悲痛な叫びが森全体に響いた。
瀬川は一体何をしているのか。
狼が吠えるわけとは。
そして、哀音が逃げていた理由とはなんなんだろうか。
そして、彼らの本当の幸せとは。
次に続く。
よほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ!!
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