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第一章6

「いきなりしおらしくならないでよ、気味が悪いじゃない」

ハァ……人がたまに感謝するとこーだもの。

「それでもうひとつの話は?」

私は彼の事をふと思い出す。

「うん…実は」

キーンコーン−−−

タイミングよくホームルームの開始を報せるベルがなる。

「あっ…」

「まぁとりあえずでてらっしゃいな。重要な話だったら今でもいいわよ?、担任には生理痛で保健室にいましたって私が伝えとくし」

「生理なんてないし、」

言ってしまってから私は慌て口を押さえる。

「ごめん。私がちょっと軽率だったわ」

先生の顔が曇る。「別に気にしないでよ。私は結構楽なんだからさ。ちょっとしたブラックジョークよ」

と軽く笑って見せる。

先生は何も悪くない。

最近とくにこういう話題には自分でも気付かぬうちに過敏に反応してしまう。

私は普通の女にはなれないのに、生きているだけで幸運なのに私はまだあがいている。ツクヨミを狩るのもそうだ。ただ黙ってあの屋敷でツクヨミ達に『餌』として血を与え、『代替わり』まで生きてさえいれば、誰も死なずに、もしかしたらツクヨミ化する者達もいなかったかもしれない。全ては私のワガママが引き起こした…。

「美羽?大丈夫?顔色が悪いわよ?」「大丈夫。ちょっと考え込んでた」

笑ってごまかしてみるものの胸の奥が痛む。

「私にできる事があればなんでも言いなさい。私にできる事は限られているけど力になるわ」

眼鏡の奥の瞳が優しい。信頼できる

「ありがと。」

「あんまり考え過ぎちゃだめよ?」

「わかってる」

わかってるけど…

「とりあえず教室行ってくるね。また昼休みか放課後寄るから」

「待ってるわ」

先生の言葉に小さくうなずき、保健室を出る。「はぁ〜」

深い溜息をついて 胸につっかえてるモヤモヤを吐き出し静まりかえった廊下を歩き出す。

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