第一章5
「いずれも何物かに殺された形跡あり。そりゃそうよね美羽がここ半年にツクヨミを倒したのが12回。となると12体分の変死体が出来上がるんだから。」
「でも、残りの15体は?」
「どうやらあなた以外にもツクヨミを倒している人がいるみたいね。残りの死体から全て同じ銃弾が発見されてた」
何者だろう…?
「まぁ異常に気付いた警察が少しづつ過去の事件を調べてるみたいだから もう少ししたら色々とかわかるんじゃないかしら?」
「そう…」
パソコンの画面から視線を外して 元居た場所に戻り、少しぬるくなったコーヒーを一口飲む。不思議な血液から出来た薬… ツクヨミ化した男達。私以外にツクヨミを狩る者。何か糸口が見つかりそうでみつからない。
「もしかしたら誰かさんと同じ血液かもね」
先生が小さくつぶやく
眼鏡越しの目は真剣な物だ。
「かもね…」
先生の言わんとしている事がわかったが曖昧な返事だけ返す。「まぁ悩んだ所で仕方ないわよ。なるようにしかならないんだから」
「そだね。ところで晶さん」
わざと名前を呼んで、私は前から気になっていた事を聞く
「何かしら?美羽ちゃん」
晶さんが満面の営業スマイルで応える
「さっきのデーターどこから手に入れたの?」
「おまわりさん達のメインコンピュータからよ」
やっぱり。
「晶さんそれって犯罪ですよ?知ってますよね?」
多分端から見たら穏やかな雰囲気に見えるんだろうけど 内容はかなり黒い。
「ん?もちろん だけど必要な事だから私だって渋々 情報を頂いてるのよ」しおらしく、ちょっとうなだれてみせるがその姿はあきらかに可愛いらしく意識をしている。
だめだこりゃ
「まぁ政府機関の情報なんか屁の役にも立たないわ、その情報を基盤に私が調べた方がよっぽど美羽の役に立つわよ」
それは間違いない
「確かに。晶さんには本当に感謝してる」
これは本音
晶さんがいなかったら私は…。