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【怪盗ドレッドノートの秘宝と天にとどく魔法の姫】  作者: 蒼空 秋


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ヴィーナスの正体

「これがビーナスの像だね、綺麗」


 レイナが思わず声をあげる。確かに美術室に飾られていたビーナスの像は美しかった。流れるような長い髪に、張りのある肌。すらっとした手足に程よい大きさのバスト、折れてしまいそうなくびれたウエスト。素材は流れるような質感のもので、銀色に輝いている。


「ウエストほっそい! 確かに普通のビーナス像より華奢な気がする。年は、わたしたちと同じくらいかな?」


「二人とも像を見ていてくれ」


 俺が瞳を閉じて念じると、ビーナスのウエストが一段と細くなったり、太くなったりする。


「ひゃあ!」


「本当に大きさが変わっちゃった」


 レイナとカレンは驚きの声をあげた。


「別に驚くことはない。これは水銀で作られた魔法具だ。周囲の人間の思念に反応し、形を変えることができる」


「え?! じゃあノートン君、ウエストが細くなっているっていうのは?」


「この学園の生徒たちの中で、理想とされるウエストサイズが細くなっている、ということだ」


 なんてことない。女子学生の理想の姿に形を変える水銀の魔法具にすぎない。


「え~、ヤダそれ違う意味で怖い!」


「こわいよお!!」


 レイナとカレンは大げさに怖がる。


「じゃあノートン君、もし巨乳ブームが来たら?」


「この像の胸が大きくなる」


 俺が念じると、ビーナスの胸が大きくなったり小さくなったりする。さらに片胸だけ巨乳にしたり、上下左右に自在に変化させてみせる。


「ノートン先生、変な風に動かさないで!」


「せめて左右の大きさをそろえてよ!」


 カレンとレイナは悲鳴をあげる。マネキンとはいえ、女性の体で遊ばれるのは嫌みたいだ。


「ふう、でもこのビーナス像、あたし達の理想を反映していただけだったのか、びっくりした」


 カレンはホッとしたのか、その場に座り込む。


「でもなんであたしたちに内緒で、わざわざこんな魔法具を設置したんだろ?」


「おそらくマホジョの学生の美容のトレンドを探るためのものだろう」


「どういうこと? ノートン先生」


「王都のファッションの流行源は、三つある。一つが貴族たちの社交界、二つ目が平民の歓楽街、そして三つ目が名門女子高であるマホジョだ。流行を押さえるのは美容の基本だからな」


「う~ん、ノートン先生の意見もわからなくはないけど、学校側も教えるべきだったんじゃないかな。いつの間にかウエストが細くなってたら、びっくりしちゃうしね」


「そうだな。ただ、どこまで学校が把握しているかはわからないが」


「どういうこと?」


「さて、次の秘密に向かおう」


 俺はカレンの疑問には答えず、次なる七不思議の調査を続ける。


「残る秘密のうち、場所がわかっているのは旧棟の不幸になる部屋かな。あそこはあんまり行きたくないから、あたしも後にまわしたと思う」


「では、行ってみるか」


 最後に不幸になる部屋があるという旧棟へと向かう。新校舎との間には回廊が作られていたため、俺たちは回廊を通って旧棟に入った。


「ちょっと古くて嫌な感じだね」


 レイナの言うとおり華やかな新校舎と違い旧棟は木造で、随分と痛んでいる。


「まあ、今年中に取り壊して移転する予定のとこだし、もう使われていないんだけどね」


 ほとんど来たことがないためか、先行するカレンの足取りは、少しおぼつかない。


「目的の不幸になる部屋はどこだ?」


「旧棟のさらに一番奥なんだけど……やっぱり行きたくないかな」


「なんとなく気味が悪いね」


 俺の手を取るレイナの足取りも、旧棟に入った途端に重くなった気がした。


「俺は何にも感じないな」


 そんなレイナの手を引く形で、俺はどんどん奥へ進んでいく。


「あ、まってよノートン君!」


 俺は旧棟の最奥、入ると不幸になるという噂の部屋のドアを開け、内部からランプを灯した。

 部屋の中には椅子や机はなく、代わりに学習机くらいの大きさの道具箱が所狭しと並んでいた。


「どうやらここは倉庫みたいだな」


 使われていない教室を、倉庫として利用しているようだった。


「この部屋なんか嫌な感じ。お化けとか出そうだし、ノートン君、早く出ようよ」


「やっぱりこの部屋だけは気持ち悪いね……」


 レイナとカレンは共に、辛そうな顔をしている。

 だが俺はレイナたちの声を無視し、部屋の壁に吊るしてあった宝石を手に取った。


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