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【怪盗ドレッドノートの秘宝と天にとどく魔法の姫】  作者: 蒼空 秋


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怪盗エロスの謎

 夜八時の校舎裏で、俺とレイナは寮から抜け出してきたカレンと合流していた。レイナはイマジンドレスが変形したキャロットスカート姿で、怪盗時の戦闘形態の色違いバージョンだ。カレンは長めのシャツにショートパンツ姿で、寮での普段着らしい。


『さすがはお二人とも、制服でなくても優雅でキュートですね』


 イエローストーンの言う通り、二人ともラフな格好にもかぎらずどことなく優雅で上品だった。これが生まれいうものだろうか。ちなみに俺は学園のエレガンス度のセンサーに引っかかるのを警戒して、昼と同じジャケット姿のままだった。


「やはり寮は問題なく抜け出せたか」


「うん。でもどうしてあたしが無事に抜け出せると思ったの?」


 カレンが不思議そうな表情で尋ねてくる。


「それはカレンが記憶を失う前に校舎に忍び込んだことがあるからだ」


「どういうこと?」


「簡単な話だ。カレンは来年卒業のはずだが、何かやっておきたいことはあるか?」


「え~と、友達といっぱい遊んでおきたい」


「他には」


「か、彼氏を作ってみたい、とか?」


「え、彼氏!?」


 少し恥ずかしそうに頬を赤らめるカレンに、レイナは驚く。


「それもあるだろう。他に〝学校の七不思議〟の謎を解きたい、とは思わないか?」


「それも興味ある!」


「怪盗エロスに記憶を奪われたカレンは、教室の机の上に寝ているところを早朝に発見されたそうだが、その夜は何をしていたと思う?」


「え?」


「カレンは犯行の日の夜に学園の校舎に忍び込んでいた。そこで怪盗エロスに出会い、記憶を盗まれた。これは偶発的な犯行の可能性が高い」


「でもノートン君。犯行声明のメモが残されていたんじゃないの?」


「犯行声明のメモは、最初の一人目は無かった。おそらく用意する暇がなかったのだろう。二人目以降は犯行声明のメモを作成し、あたかも女子学生の記憶を狙う変態による、計画的な犯行に見せかけた。推測だが、怪盗エロスが守ろうとしたのは、別の秘密だ」


「別の秘密……?」


 カレンはその場で考え込んでしまった。


「校舎にある秘密、おそらくは学校の七不思議と関係がある何かだ。好奇心旺盛なカレンや他の二人の被害者は、七不思議の秘密を探ろうとしてこの校舎に侵入し、見てはいけない秘密を知ってしまった。そのため記憶を奪われた」


「怪盗エロスは女子生徒の記憶を狙う変態じゃなくて、しかも校舎には何か秘密が隠されているってこと?」


「その通りだ。カレン、前の学年でも記憶を失った生徒の話はあったか?」


「先輩に聞いたところによると、何年か前に、あたしみたいに記憶を失う生徒はいたみたい。ただその時は一人だけだったから、騒ぎにならなかったみたいだけど」


「ふむ。それがここ一か月で三名も記憶を失う生徒が出て、慌てて記憶を奪う怪盗の存在をでっちあげたんだろう」


「ノートン先生、どうして、最近になって七不思議を探ろうとする生徒が増えたのかな?」


「その答えも、学校の七不思議を調べればわかるはずだ」


「そっか、夜の学校って怖かったけど、少しわくわくしてきたね」


 レイナは楽しそうだ。対してカレンは「……うん、そうだね」と期待と不安が入り混ざったような複雑な表情をしていた。怪盗エロスに近づいていることが、少し怖いらしかった。


「ではカレン、以前の君なら、どの順番で七不思議を探したと思う?」


「そうだね、七不思議のうちで場所がわかっているのは、ビーナスのウエストと不幸になる教室なんだけど、あたしが行くとしたらウエストの確認からかな」


「問題はどこから校舎内に侵入したかだな。カレンの足取りをたどるなら、カレンが入れるルートを使わないとだめだ」


「あたし、カギが壊れている窓を知っているよ」


「では、そこから入るか」


 数分後、俺たちはカギが壊れた窓から難なく新校舎の内部に侵入することができた。おそらく、カレンが以前に侵入したときも同じルートを使ったはずだ。


「夜の校舎って、ちょっと怖いかも。ノートン君、あんまり離れないでよ~」


 猫人の俺は夜目が効くため、暗闇の中でも問題なく進むことができた。


「……もし怪盗エロスと出くわしたらどうしよう?」


 カレンも落ち着きがない。怪盗エロスの謎に近づいていると、感じているのだろう。


「大丈夫だよ。ノートン君はとっても強いから」


「でも、お化けがいるかもよ?」


「えっ、それはやだ。ノートン君、手を握っていい?」


「あ、ああ。構わないが……」


 レイナはよほどお化けが怖いのか、俺の手を取ってくる。その小さな手は柔らかく、艶やかだった。普段は気丈に見えるレイナでも、怖いものはあるらしい。おびえている彼女には悪いが、ずっとこの時が続けばいいと思った。


「美術室はここか」


 俺はドアを開け、中に入っていく。レイナたちにも見えるようにランプを灯し、部屋を明るくする。

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