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【怪盗ドレッドノートの秘宝と天にとどく魔法の姫】  作者: 蒼空 秋


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ブルマ

 着替える必要がなかった俺はそのままの姿で一足先に体育館に行き待っていると、しばらくしてからレイナたちA組の生徒が体育館にやってきた。

 あれが体操着? 随分と奇妙なデザインだな。

 レイナ達が着ていたのは組と名前が書かれた白のTシャツに、紺の厚地の下着のようなデザインの服だった。太ももは大胆に露出し、ソックスを除いてほぼ生足だ。浮気者のニーソックスを履いているレイナは目立つかと思ったが、他にも長めのソックスを履いている女子が多くいたので、特に浮いてはいない。

『あら懐かしい、ブルマーじゃありませんこと』

 ポケットの中に持ち込んでいたイエローストーンが口を開く。

「あの体操着を知っているのか?」

『はい。かなり前ですが、動きやすい衣装として某校長が作らせたデザインだそうです』

「思い出した! 確かお客さんにウチの店でもブルマをおいていないか聞かれた時に、いろいろと調べたんだった」

 ララさんに相談したら「ブルセラでも始めるのかい?」とからかわれたんだった。

『かつては女子の憧れの衣装だったんですけど、今となってはデザインが微妙ですね』

「そうだな、俺にはただのパンツに見える」

「まあ女子校ですから、その辺は気にならなかったんじゃないでしょうか? 体育は体育館だけで行われるみたいですから、男性の視線もないですし』

 そう考えると、今回の俺は随分と場違いだった。事実、生徒たちはレイナも含めてよほど恥ずかしいのか、全員がシャツを外に出してスカートのようにして、少しでもブルマを隠そうとしている。ただシャツの長さが足りず、紺色のパンツ丸出しの激ミニのスカートみたいな、よけいに煽情的なデザインになっている。

「本来はブルマーの中にシャツを入れるのですが、ああ着崩してはエレガンス度が下がってしまいます」

 ポロン先生は困った表情をしている。きっと俺のせいだろう。かわいそうなので、視線を対抗のB組に移す。

『B組の生徒の制服は、異なるみたいですね』

 イエローストーンの言う通り、B組の体操着はチアガール風のミニスカートの衣装。中にはスパッツを履いているのか、スカートの中を気にしている様子はない。こちらはスタイリッシュでとても可愛らしい。露出が多いくせにどことなく野暮ったいブルマと大違いだった。

「ではA組とB組の合同授業を行います。種目は〝マジック棒倒し〟です」

 ジャージを着たポロン先生より少し年上でスポーティな雰囲気の女性が宣言する。彼女はネイ先生といい、B組の担任だそうだ。

 ネイ先生が宣言すると同時に、体育館の両端部分が盛り上がり、二つの台場を形成する。真ん中には高い棒が立っている。さすがはマホジョの体育館、すごい設備だ。

「ポロン先生、マジック棒倒しとは、どんなスポーツなんです?」

「はい。相手チームの棒を倒したら勝ちという、簡単なゲームです。魔法も魔法具の使用もOK、ただし台から落ちたり、あとエレガンスさに欠ける行為をした場合も失格となります」

 二つの台から落ちたらアウトなのか。両チームの生徒が手にホウキを持っているのは、飛んで相手の台に移動するためらしい。

「俺たち教師の役割は?」

「監督として、彼女たちを指導することです。タイムをとって、作戦を指示することができます。あと私とネイ先生は、共同で審判も受け持ちます」

 つまり俺はせいぜいアドバイザー。現場はレイナ達に任せるしかないようだ。

「ホウキで飛べる子はオフェンス、飛べない子は相手を自陣で棒を守るディフェンスに分かれますが、レイナさんはディフェンスに分けられたようですね」

「しかし魔法で撃ち落とすとは、危険な気がするが?」

「体育館は魔法の保護があるので、ケガはしません」

 台の下はいつのまにかクッションが展開されていた。痛くはないだろうが、落ちることは落ちるらしい。魔法で相手の陣地を攻め合う、まるで戦争の予行練習だった。

「では両チーム、要求するものを宣言してください」

 ネイ先生が、手を大きく上げて叫ぶ。

「組対抗の場合、勝ったら貰えるものを要求できるのです」

 とポロン先生が説明してくれる。戦利品まであるとは、ますます戦争じみていた。

「B組は、今日の給食のデザートを要求します」

「ええええ!」

 B組の生徒たちの要求に、A組の生徒たちから悲鳴があがる。負けたら大変だと、みんなの顔色が変わる。

「A組は何を要求しますか?」

 ネイ先生に問われ、A組の女子生徒は顔を見合わせた。何を要求するか、決めていなかったらしい。ポロン先生が言うには、相手と同じ要求はできないルールだそうだ。

「レイナ、決めていいよ」

「ええ!? わたしが?」

 カレン達から指名され、レイナは慌てふためいている。

「レイナがA組に一番必要だと思うものを要求すればいい。外のコの意見も、大切だと思うの」

 他の生徒も同意見のようだ。みんなレイナを見て、うなずいている。

「え、え~と……」

 レイナはせかされて立ち上がったが、何を要求すればいいかわからないでいるようだ。とりあえず体操着は恥ずかしいらしく、シャツの袖を伸ばして必死でブルマを隠しながら考え込んでいる。

「じゃあ、A組が勝ったら、体操着のデザインの変更と交換を要求します」

「おおおおおおおお!」

 レイナの要求に対し、A組の生徒からは歓喜の声が上がる。なんとブルマとB組の体操着の交換を申し出たからだ。

「ひえええっ!」

「あんなパンツみたいな体操着は嫌あ!」

「お嫁にいけない!」

 今度はB組の生徒から、悲痛な声があがる。皆、内心ではこのブルマは嫌だと感じていたらしい。

「がんばろうね、みんな」

 レイナの掛け声に「うん!」「はい!」と生徒たちは賛同する。

『レイナさん凄いですね、早くもリーダーみたいになっています』

 確かにA組の女子生徒たちは、レイナをリーダーと認めたようだ。それも王族の血統がなせる業なのだろうか。

 そんなA組の姿に対し、ポロン先生は何やら思い悩んだように、考え込んでいた。

「これよりゲームをスタートします。3、2、1、スタート!」

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