教師の苦労
「ふ~、疲れた」
朝のホームルーム後、次の授業までの間に俺はレイナとカレンと共に廊下で一息つく。
「ノートン君、語尾が〝ニャ〟とか、女子生徒の前だからって、ちょっとあざとすぎるかな」
「あれは噛んだだけだ。わざとじゃない」
「お嬢様校って、もっと堅苦しいイメージだったけど、違うみたいね、カレン」
「うん、ウチはお嬢様校だけど自由な校風だし、特に担任のポロン先生は〝今を精一杯楽しみなさい〟って教育方針だからね」
「あとみんなすごくたくさん美容系の魔法具を持ってて、びっくりした」
レイナはすでに山のようにたくさんの美容魔法具を、プレゼントされていた。
「簡単な魔法具を作れるカリキュラムがあるんだけど、みんな美容系の魔法具を作っちゃうの」
魔法具を作成するにはそれなりの魔力と施設が必要になるが、さすがは貴族だ。そういう設備を持っているらしい。
「その魔法具についてだが、これの出どころを調べてほしい」
俺が手に取っていたのは、髪の毛の灰を入れると対象の姿に似てくるという〝美灰のコンパクト〟だった。
「その魔法具がどうしたの? ノートン君」
「うん。ほかの魔法具は効果も呪いもイマイチで、いかにも学生が作成したものらしい代物だ。だがこれは本物、美魔女ヴィラの魔法具に匹敵する性能を持っている。素人が開発したモノとしては少々できすぎてる」
「わかった。じゃあこのコンパクトを誰が作ったか、友達に聞いてみるね、ノートン先生」
「いいのかカレン、手伝ってもらって?」
「いいよ。だって探偵みたいで楽しそうだし、それにあたしから盗まれた恥ずかしい記憶が何なのか、気になるしね」
「わかった。くれぐれも無理はしないように。相手は変質者の怪盗の可能性があるからな」
「あたしは一回は会ってるはずだし、大丈夫でしょ」
「レイナは引き続き調査を頼む。外の人間でないと見えないものもあるかもだし」
「うんわかった、でも次の授業はB組と合同で体育だから、着替えなきゃ。女子生徒たちにデレデレしちゃだめだよ、ノートン君」
俺をたしなめながら、レイナたちは更衣室へ向かった。
「ふう……」
その姿を見送りながら、俺はため息をつく。やはり教師は大変だった。




