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【怪盗ドレッドノートの秘宝と天にとどく魔法の姫】  作者: 蒼空 秋


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マホジョ

「レイナちゃん可愛い、よく似合っているね」

「えへへ、ありがとサーシャ」

 レイナはマホジョの制服に身を包んで、スカートをなびかせながら嬉しそうにしていた。俺はポロン先生とレイナ、カレン、サーシャと共に学園内の庭を歩いていた。天気もよく、清潔な学園内を歩くのは心地よかった。

「そうね、レイナは貴族のコと言われても、みんな信じると思うわ」

「ありがとう、カレン」

 レイナは短期間でカレンとも打ち解け、名前で呼び合う関係になっていた。

「ノートン君はどう? わたしの制服、可愛いと思う?」

「ああ、可愛いと思うよ」

 嬉しそうに目の前に回り込んだレイナに、思ったままの感想を述べる。サーシャに比べて少し短めのスカート丈の制服が、活発なレイナの印象とマッチしている。

「やったぁ。学生服、ずっとあこがれていたんだ。学校に通えるなんて、夢みたい」

 レイナは満面の笑みで喜ぶ。お城で軟禁状態だった彼女にとって、学校はよほど楽しいのだろう。舞い上がらんばかりにはしゃいでいる。あの制服も、イマジンドレスが変形した姿だということは、他のみんなには内緒だった。

「その指輪は、外さなくていいのか?」

 俺はレイナがいつもはめている左手中指の宝石がはめこまれた指輪について聞く。今まではあえて聞かなかったが、さすがに学生服とは不釣り合いだし、校則的にも疑問があった。

「校則では指輪は問題ないです。何しろ、貴族の学校ですから」

 ポロン先生がそう答えてくれた。そういえばカレンの髪留めもネックレスも、宝石が散りばめられた高そうなものだ。何もつけていないのは、サーシャくらいか。意外に校則は緩いらしい。

「よかった、これは亡くなったお母様の形見だから、肌身離さずにつけているの。つけ続けると、幸運がもたらされるとお母様が言っていたんだよ」

 見たところそういう効果はなさそうだ。必要な時にだけ発動する魔法具だろうか。

「ただ〝エレガンス度〟を満たしている必要があります。念のため、確認しておきますね」

 ポロン先生は片眼鏡を取り出して、右目にはめる。何かを測定する魔法具のようだ。

「これは〝エレガンスカウター〟といって、優雅さを数値化することができる魔法具です」

「エレガンスカウターだと!?」

「この数値が10未満の方は、学舎内に入ることができない決まりになっております。下回ると、学舎の戦域魔法が発動し、対象を拘束することになります。これにより、制服の過度な着崩し等による風紀の乱れを防いでいるのです」

 さすがはマホジョ、なんという恐ろしい学園だ。

「まずサーシャさんエレガンス度を測りますね。えーと、11」

「ほっ、セーフです」

「続いてレイナさん、34! すばらしい、貴族の女子並みの数値ですね」

「あはは、よかったです」

 生粋の王族であるレイナの優雅さは隠しきれないのか、高めの数字が出て俺たちは少し焦る。

「最後にノートンさんも図りますね」

 ポロン先生は俺の測定もしてくれた。一応、上質のスーツを着ているので、大丈夫なはずだ。

「72、上位貴族並みの数字です」

「ちゃんとした格好をしてきてよかった」

 俺はホッとする。学舎の戦域魔法に拘束される心配はなさそうだ。

「ノートン君のエレガンス度、高いね。その服のせいかな?」

「制服のエレガンス度が10ですから、きちんと制服を着こなせば、問題はないはずです」

 と、ポロン先生。校則は厳しいが、きちんと対応すれば問題ないようにしてあるのか。

「ええっ! ってことは、私自身のエレガンス度は、1ってこと!?」

 サーシャだけは自身のエレガンス度はほぼ制服によるものだったことが明らかになり、ショックを受けていた。

 そんな事を話しながら奥の広場にでると、始業前の朝練をしている生徒たちがいた。 

「──すごい、ホウキで飛んでる!」

 広場の上空には、ホウキにまたがった女子学生たちが飛んでいた。スカートが風になびいていたが、女子校ということもあってか、はためくスカートを気にしている様子はない。

「あれはホウキの飛行授業だよ、魔女部の朝練ね」

 レイナが手をふると、女子生徒たちもホウキにまたがりながら、手をふり返してくれた。

「転校生?」

「えっと、体験で~す」

 レイナが大声でそう答えると、向こうも「ようこそ~」と歓迎してくれた。

「ホウキで空を飛ぶのって、かなり高度な魔法だよね、わたしも飛びたいな」

「ウチの学校の魔法具なら、割と簡単に空を飛ぶことができるよ」

 カレンの言葉にレイナは「へ~、すごいんだね」と感心する。

「ただ呪いがきつくて、学園内の掃除をきちんとしてないと、空中で落っこちちゃうの」

「ええ!?」

 カレンのショッキングな言葉に、レイナは驚きの声をあげた。そういえば他の女子生徒たちはホウキで必死で庭の掃除をしていた。その眼差しは真剣そのものだ。

 彼女たちの姿を見てレイナは思わずつぶやく。

「魔法の勉強って、やっぱり大変だね」

 俺の方はというと、やたら周囲の女子生徒たちにジロジロと見られていた。

「あの猫人って何かな?」

「研究動物じゃない?」

「え~、解剖とかしないよね?」

 俺に関する噂話が聞こえたが、ひどい扱いだった。

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