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【怪盗ドレッドノートの秘宝と天にとどく魔法の姫】  作者: 蒼空 秋


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お泊り

「だからお願い、わたしをここにおいて」

 そうか、結局その話に戻るのか。

「あのパンダには、魔法具を食べさせたんだな?」

「うん。でもすぐ満腹になったみたいで、食べなくなったよ」

「満腹なら、一週間は持つはずだ」

 つまり一週間の間なら、パンダはレイナの身代わりに公務を代行してくれるはずだ。

「効果が切れる前に、城に戻ると約束してくれるか?」

「うん、もちろん」

 相変わらず、レイナは花が咲いたような笑顔を見せてくれる。この笑顔の前では、どんな要求だって聞いてしまう気がする。

「ただ、この家ではダメだ、滞在する宿を探そう」

「ええ、どうして?」

「どうしてって、レイナは女の子じゃないか」

「そうだけど、どうして?」

 俺の言った言葉が理解できないのか、彼女はキョトンとして不思議そうな顔をしている。

『レイナ嬢ちゃん、金ね~しな、ガハハ』

「それはお前の貧乏の呪いのせいだ。資金は俺が出す」

『ん~、わたくしはいいと思いますよ。むしろ宿だと危険だと思います。顔が割れちゃうリスクもありますし、ご主人が守ってあげないと』

「さすがイエローちゃん、そのとおり!」

 イエローストーンの進言を、我が意を得たりとばかりに全肯定する。

「しかし、レイナみたいな女の子と同居なんて……」

 俺は思わずレイナから視線をそらし、下を向く。

「え~どうしてどうして?」

 だが視線の先に、かがんだレイナが回り込んでくる。ミニのスカートからこぼれ出るフトモモと、服の上からでもわかる豊かな胸が視界に入ってきて、思わず〝ドキリ〟とする。

 落ち着け、可愛く見えてもあの服はイマジンドレスが変形した姿だ。あんなのに萌えるな。

 必死で自分を落ち着かせる。さすがにレイナと一つ屋根の下で暮らすとか、頭がおかしくなりそうだ。

『ご主人、青春は短いものです。チャンスを逃すと、後悔しちゃいますよ?』

 イエローストーンが俺だけに聞こえる小声で言う。

「そういう問題ではない」

『わたくしは、ご主人とレイナさんのためを思って言っているのです。部屋も余っていますし、セキュリティも万全ですし、問題ないと思います』

 確かに、イエローストーンのいうことには一理があった。宿で暮らしたらレイナの正体がいつバレるか分かったものではない。

 理屈ではその通りだ。レイナやイエローストーンが正しい。そのことは、認めるべきだ。

「……わかった」

「やったー、イエローちゃん、イエーイ!!」

『いえ~い!!』

 レイナは宝石と器用にハイタッチをする。仲良くなりすぎるのも、問題だと思う。

「客間が余っているので、とりあえずそこを使ってくれ」

「うん、おじゃましま~す」

 嬉しそうなレイナを、俺は客間に案内する。ただの空き室なので、タンスしかない。

「ベッドは、これを使ってくれ」

 俺はジャケットのポケットから、ゼリー状の魔法具を取り出す。その物体は瞬く間にベッドのような形にまとまる。

「これは〝スライムベッド〟というもので、魔獣スライムを加工して作ったものだ」

「へ~、スライムのベッドって、すごく弾むね。冷たくて気持ちいいし、お城のベッドより好きかも」

 レイナはベッドの上で子供のようにはしゃぐ。

「魔力で好きな形に変化できるので、必要に応じて変えてくれ」

『ふふふ、一つ屋根の下、これでご主人はいつでも来れますね♪』

「部屋の鍵は内側にある。ちょっとやそっとでは開かない魔法の鍵だから、安心してくれ」

「でもノートン君なら開けられるんでしょ?」

「……まあ、非常時はな」

 レイナはなにが面白いのか少し微笑みながら、変なことを言う。

『がはは、おいらはパジャマ形態にもなれるからな。夜這いに来ても無駄だぜ。塩の柱になりたきゃ来てもいいけど』

 こいつはパジャマ形態にも変身するのか。つーかこんなの着てよく寝られるものだ。

「それよりも、お前の貧乏の呪いは、俺に移ったりしないよな?」

『それは大丈夫だ。おいらの呪いは着ている人限定だかんな』

 よかったと安堵した。さすがに店を潰すわけにはいかないからだ。そもそも貧乏の呪いが影響するなら、王家はとっくに財政破綻しているはずだった。

「他に荷物はあるのか?」

「上着はイマジンドレスが変化できるから、持ってきているのは肌着や下着だけだよ」

「……そうか、そっちはこのタンスを使ってくれ。とりあえずは、変装だな」

 さすがにフードだけではいつかバレる。かといって、エルフの格好もまずい。

「レイナ、これをつけてくれ」

 俺は伯爵邸に潜入時に使った贋作のリボンを手渡す。

「これって、確かなんでも贋作にしてしまうアイテムだよね?」

「ああ、これをつければ〝レイネシア姫に似ている別の女の子〟と認識されるはずだ」

「つまりわたしは姫の贋作、偽物になるってことね」

「そういうことだ」

 ポニーテールのリボンを付け替え、レイナは鏡の前で嬉しそうに長い髪をいじる。

 これでよほど親しい人物と出会わない限り、正体は見破られないはずだ。

「さて、とりあえず夕食にするか。レイナは、何か食べたいものはあるか?」

「うん。わたしは、ノートン君がいつも通っているお店に行きたいかな」

 ランド亭のことか。そいえばララさんに謝礼として伯爵の魔法具を引き渡す予定もあったな。そこで食事を済ますとするか。

「わかった、俺も用があるから行こう」

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