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ガラス細工を愛する少女は王妃様を輝かせたい  作者: 小日向 おる
第七章

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62 一学年の終わりに

 今年度最終日。

 学園長グウィント・フェンから学園長室に、四人の生徒が招集された。

 来年度の生徒会役員の任命だという。


 生徒会長  ミニュスクール公爵令息 ロレンツォ・ラティオ

 生徒副会長 ガルシア準男爵令息   エミリオ・ガルシア

       クローステール男爵令嬢 クリス・アンバーブロウ

       フルーメン伯爵令嬢   ペール・フェン


「以上の四人が来年度の構成だ。書紀、庶務、及び会計に関しては、新入生が加わった時点で選抜したまえ」


「はい」四人が返答する。


「二学年のフェン・リヒター君からは辞退があった。フリア・ロペス君は、ガルシア君がいずれ『医療』になるのでね、外させてもらった。結果、四位のペール・フェン君になった」


「発言しても宜しいですか?」ロレンツォが手を挙げ、グウィントは首肯する。


「生徒会活動が初めての私より、会長はガルシア君の方が良いのではないですか?」


「ああ、確かに三期目だから慣れてはいるが、二位なのでね。それに教師の中に爵位を問題視する者がいる。愚かな事だが」


 言外にジュゼッペ・ガルシアの犯罪を匂わせているのだろう。生徒たちはそう感じた。


「仕方の無いことです。大罪人の孫なのですから。副会長を任命されるだけでも得難い事です」


「君には実績がある。『部門別発表会』の奮闘も鑑みてだ。大いに活躍してくれたまえ。アンバーブロウ君とフェン君は二人をよく助けるのだよ。生徒会室の鍵は、新年度初日にラティオ君に渡す。話は以上」




「残念ですねぇ。ガルシア先輩ー。フリア様じゃなくて、私でごめんなさーい」


 学園長室から出るなりペールはエミリオの前に回って、ぺこんと頭を下げた。

 エミリオは「いやあ」と、頭を掻く。


「二学年は『部門別発表会』があるから。主家のフリアは今年以上に忙しくなるだろ。⋯⋯今年の僕ほどじゃないと思うけど。フェン嬢は大丈夫なの?」


「お飾りだから大丈夫でーす」なぜか胸を張るペール。クリスは二人の会話にくすくすと笑う。


「どんな新入生が来るんだろう? 何か知ってる?」ロレンツォが割って入る。


「イシャーンの妹がいなかったか? あとは『エネルギー』の令息がいたかな?」エミリオが指を立てる。


「わー、『商務』と『エネルギー』なら計算強そう! ね、クリス様」ペールがクリスの手を取って、ぴょこぴょこ跳ねる。




「仲がいいね、君たち。アンバーブロウ嬢とは我が家でたまに会う事もあったが、ほとんど話したことが無いな。君のような可愛らしい女性と、一緒に仕事が出来るのは嬉しいよ」


 ロレンツォがクリスの顔を覗き込み、セーレナによく似た笑顔を浮かべた。


「やめとけ。第二王子殿下に睨まれるぞ」エミリオがロレンツォの襟を引っ張った。

「クリス様にはもれなく私が付いてきまーす」ペールがクリスの腕に絡まった。


「第二王子とはあくまでも候補なんだろう? 成績は優秀、我がミニュスクール公爵家の両親が気に入っている女性なんだよ? 当然、手に入れたいと思うだろう?」セーレナと同じ艷やかな栗色の髪を撫でつけながら話すロレンツォ。


「いやいや。どうしてアンバーブロウ嬢が、公爵家で学んでいるか知らないのか?」エミリオは眉に皺を寄せる。


「姉上がパトロンになったからだろう?」


「えー? 知らないんですかあ?」ペールが首を捻る。ロレンツォも「何を?」と、首を捻った。


 クリスは少し思案し、上目遣いにロレンツォを見る。


「聖堂でジュール様にわたくしが何をしたかご存知ですか? ラティオ先輩」


「い、いや。知らない」射抜くような瞳にたじろぐロレンツォ。


「左様でございますか。セーレナ様にお聞きになって下さいませ。それがわたくしの気持ちです」


 クリスは満面の、輝く笑顔を向けた。

 セーレナには『部門別発表会』の騒動の顛末は伝わっている。当然、ジュールに平手打ちを食らわせた事も。


「うわぁ」エミリオとペールが同時に声を上げた。

 二人は「直伝だ」「兄上に報告せねば」と、ひそひそと話し合う。

 ロレンツォはそんな二人に目を向け、肩を竦めた。




「そういえば、皆様の領地は王都に隣接されていらっしゃいますけれど、お戻りになるのですか?」


 王都は南北に二つの領地分の広さがある。

 王都の西側には『教育』と『内務』、東側は『商務』と『財務』が配置されている。


「私は領地に行くよ。跡取りだからね、状況を把握しないといけない」と、ロレンツォ。


「僕は王都で新しい家に引っ越しだよ」うんざり顔のエミリオ。


「私は学園の真南ですからねぇ。今も領地の端から通っているのです!」ペールは元気よく。


 クリスの問いに、それぞれが答える。


「そうですか。わたくしは領地で、グラスビーズの修行をしてまいりますわ」


「頑張れ」と、クリスを三者三様に応援する。


「皆様も。春にお会いしましょう。それまでお元気で」




 手を振り合い、それぞれが帰途につく。

 こうしてクリスの一学年が終了した。


 一抹の不安を抱え、春から新しい生徒会活動が始まる。 

第一部完結です。

大きな山場を書き終えてホッとしております。

第二部、番外編など少しずつ考えています。


ここまで読んでくださって、本当に有難うございました。

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