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幕間 眠れぬ夜 ― ライside―
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深夜の執務室。
ライはひたすら書類にペンを走らせていた。
──そうしないと思い出してしまうのだ。
今日のミオの姿を。あの、真っ直ぐな視線を。
そして……村で見たような、あのはにかんだ笑顔を。
人混みに紛れて姿が見えなくなった瞬間、
足は自然に彼女の元へ向かっていた。
手は、勝手に──あの白い手を探し、指先を絡め取っていた。
すべて、無意識だった。
ソファに投げたままの、華麗で窮屈な、濃紺の騎士服に目をやる。
大嫌いだったはずの ”それ” に手を通したのは、いつぶりだったか。
思い出そうとしても、意識はまとまらない。
あの華奢な手のぬくもりだけが、強く残っていた──




