表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第0話 男女の関係とは落下から始まるものである。

 まぶしすぎないヒロインを目指して────

 荒谷さんは荒れていた。

「う、訴える!か、かかっ勝手に人のものを拾ったら犯罪だ!だってやってることスリと変わらないじゃん!け、警察呼ぶからな!縄で市中引きずり回されてしまえー!」

 そんなめちゃくちゃな、どこからツッコミを入れていいか分からない言いがかりをつけられている少年は毛利想人。

 明らかに冷静でない状態で想人に詰め寄る少女は荒谷古鈴。

 二人は人気のない屋上へ向かう階段の途中、踊り場で対峙していた。

 しかし、対峙していた、とは言っても、それはかなり荒谷さんの主観に寄った言い方である。想人からすれば敵対の意思などなく、むしろ善意を以って接しようとした結果がこれ。お年寄りに席を譲ろうとしたら「わしゃまだ若いわい!」と怒鳴られた時の若者のように、単純な驚きと善意が徒労に終わった無念とが混じったような表情で、彼はいたたまれなさそうにその場に佇んでいる。

 どうしてこんな状況になってしまったのか。彼はこれまでこうならない努力をしてきたはずなのに、運命とはいかに残酷なのだろうか。

 しかし起きてしまった事象はすでに過去のものだ。過去に戻ることはできない。過去は変えることが出来ない。……まあ、思い出話程度なら時間が経つごとに変わっていくが、それはそれとして。

 過去は戻れないし変えられないが、振り返ることはできる。思い出話のように。多くの過去が積み重なって現在があり、また未来がある。つまり、今こそ想人は振り返るべきなのである。どうしてこうなった、と思った時には、回想をするべきなのである。

 1か月前の入学式から今まで。走馬灯のように、パラパラと思い出していただこう。


 ……回想に入る前に一つだけ述べておくとするならば。

 この物語は少女が空から落ちてきたわけでも、バナナの皮を踏んで滑って落ちてきたわけでもない。そんな大仰な、一歩間違えば人が死んでいるようなイベントでこの男女は運命の出会いをしたわけではない。


 ただ、荒谷さんの落としたスマホを想人が拾い、その画面にやたら肌色や変な擬音が乱立していただけだ。

 読んでくださった方はありがとうございます。

しばらく続ける予定ですので、時間のある際に是非。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ