99話:偶然の産物(?視点)
薄暗い部屋の中。
白い光を放つ黒い炎がゆらめく。
ミセリアは、またガリガリと爪を噛む。
傍にあるメモ帳に書かれていた何人もの名前。
その全てが乱雑に塗りつぶされていた。
「反応はあった。でも違った……どうして……地毛じゃないと思ったのに、染めてないとなるとどうして反応が……」
ぐるぐると思考を巡らせるせいで、あたりのことなど目に入っていない。当然自身を傷つけていることにも気づいてはいない。
「早く早く早く早く早く早く早く早く」
ミセリア
不意に聞こえた声に、ミセリアは爪から口を離した。
ポタポタと流れる自分の指を見つめ、洗って返すと言って預かった彼女のハンカチ。もう一度汚してしまって申し訳ないと思いながら自分の指を押さえる。
その時、ハンカチの隙間からはらりと何かが落ちて、黒い火の中に落ちていった。
その瞬間、黒い火が大きく燃え上がり、神々しい白い光が放たれた。
その様子を呆然とミセリアは見つめていたが、波が徐々に大きくなるように、彼の感情もどんどん昂り、涙を浮かべながら彼は高笑いをする。
「見つけた、見つけた……やっぱり、俺は間違っていなかったんだ!」
誰のものかもわからないそれに、絶対的な確信を得たミセリアは、床に落ちたハンカチを拾い上げ、顔の前でぎゅっとそれを握りしめた。
普段前髪で隠れている赤い瞳が顔を出し、じっと自身の血に濡れたハンカチを見つめる。
その表情はどこか陶酔し、赤く燃える瞳にはどこか恐怖を与えるようなゾッとするような何かが写っている。
そっと血に濡れたハンカチに口づけを交わし、ミセリアはそれを黒い炎の中に放り投げる。
「やはり、この世界にいらっしゃんですね、”聖女様”」




