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88話:即席パーティー交流会

数日後に行われる魔法科一年生の恒例授業、魔法討伐。

そこで私を含め知り合い5人と、東の国より留学で来ているミセリアがパーティを組むこととなった。

私たち5人はお互いのことをよく知っているが、唯一ミセリアのことはわからない。

というわけで、今日、こうしてシルビア提案で交流会が開催された。

もちろん、私たちだけじゃないくて使用人たちも参加で。

色々準備も手伝ってもらったしね。


「ミセリア殿下、大丈夫ですか?」

「は、はひ!だ、大丈、夫です……」


大丈夫じゃないぐらいビクビクしている。まぁ態度が完全に狼の巣窟に放り込まれたうさぎみたいになってるな。


「とりあえず、一通り自己紹介しようか」


私が進行をする形で、交流会は進んでいった。

自己紹介から始まり、最初は好きなお菓子だったり世間話、その後からは魔法討伐についての話。内容がどういうものかを再度確認をして、次に魔法の話をする。

私は氷魔法が得意。それに関連して水と霧の魔法も得意だったりする。

ルヴィーは火の魔法が得意。後、剣術は私より上なので、物理攻撃は私とルヴィーメインで行うことになる。

シルビアは、得意などはなく、全属性満遍なく使える。

アンジュは白魔法だけど、あまりそれは使わないように教皇様から言われており、それ以外で上手く扱える魔法が風だったので、絶賛風魔法を習得中とのことだ。

キリクは、土魔法が得意で、以前アンジュに小さなゴーレムを作って踊ってるところを見せたらしい。


「ミセリアは何が得意なの?」

「あ、俺は……トレーフルと同じで、氷が得意。だけど、雷も同じぐらい得意」

「雷か、私はそんなに覚えてないな」

「あ、だったらトレーフルでも覚えられそなの、今度教える」

「ホント?ありがとう」


私がミセリアとそんな会話をしている時、キリク以外の3人がまるでこの世の終わりと言わんばかりに絶望的な顔をしていた。え、どうした君たち?


「お、お二人は……な、名前で、よ、呼び合っているのですか?しかも、そ、そんなフレンドリーな……」

「え、あ、えっと……お、俺は、殿下とか、様付けされるの、苦手、だから」

「それで、じゃあ私も呼び捨てでってことになったの」

「そ、そうなんですね」

「あの、だ、だから……み、みな、みなさんも、お、俺のこと、は、呼び捨てで、か、構いません、ので……」


ミセリアがそう、辿々しくいえば、四人はそれぞれ頷いたり笑みを浮かべたりしてミセリアを呼んだ

呼び捨てだったり、さんだったり、殿だったり。こういうところで人の性格ってでるよね。


「それじゃあ話を続けましょうか」


お互いの魔法のことも知り、今度はどいう構成にするか考えた。

誰が指示して、誰が前衛か後衛かサポートをするかなどなど。


「え、トレーフルは、む、無詠唱が、でで、できるの!?」

「うん。無詠唱は幼少期の頃の方が習得しやすいって本に書いてあったから、少しずつね。二年ぐらい前には、普通にできるようになったよ」

「す、すごいね」

「言っておくが、トレーフルが特別なんだ。詠唱の省略はできても、無詠唱ともなれば、俺もシルビアもできない」

「だから一緒にやろうっていったんじゃん」

「お前の教え方は具体性にかける。シュッとかぶわっ!じゃわかるわけないだろ」

「感覚派なんだよ私は」


助言だったり、アドバイスをするような、なんていうか背中をそっと押すようなことはできるけど、自分が当たり前に、感じたことをそのまま伝えるのはどうも苦手で、脳筋のような擬音での指導になる。

無詠唱ができた時に、ルヴィーやシルビアにも教えようと思ったけど、その擬音指導が当然わかるはずもなく、ルヴィーに怒られたのは今ではいい思い出だ。


「まぁ詠唱については、ナーヴィス……先生が担当だし、聞けば私よりわかりやすく教えてくれるよ」

「す、すごい……俺、も、頑張った、けど……省略、が、限界、だった……トレーフルは、特別、なんだね……」

「そんなことないよ。やり方が間違ってたのかもしれないし、ミセリアもいつかできるよ。魔法、好きなんでしょ?」

「うん……そう、だね……頑張ってみるよ」


少し気恥ずかしそうにしながらミセリアがそう答える。

なんていうか、小動物と思ってたけど、恥ずかしがり屋な弟のお世話をしているみたいな気分になる。


「おい、レーフ」


ふいに、ルヴィーが私の腕を引き、周りに聞こえないほどのボリュームで話しかけてきた。


「あまり仲良くなりすぎるなよ」

「まだ警戒してるの?」

「そうじゃない。相手は一応男だ。お前は婚約者がいる身なんだから節度を守れということだ」

「えぇ、でもミセリアはそういうのじゃないし」

「お前が良くても、周りは少しヒヤヒヤしてるんだ。ハーヴェンクの耳に入ったらどうする。あいつ、殺されるぞ」


そんなはずない。といいたいけど、思わず想像してしまった。

ハーヴェの耳にミセリアとのことが入った後のことを。殺さないにしろ、医務室送りになり、他国の王子を傷つけたことで、戦争に……。


「いや、勝てるな」


うちとフィデースでは武力に差がある。戦争になってもうちが勝つな。

じゃあ問題ないか。


「何を想像してるか知らんが、とにかく問題になる可能性があるから接し方には気をつけろよ」

「わかったよ」

「ト、トレーフル?ど、どうかした?」

「……ううん。なんでもない。それじゃあ話の続きをしようか」


ルヴィーの言ってることも正しい。

実際、恋愛小説、乙女ゲームにおいて悪役令嬢というポジションができるのは、婚約者が他の女と仲良くして、そこで生まれる激しい嫉妬だ。

嫉妬を抱かせる側がしないといけない行動は、婚約者以外の異性となるべく仲良くしないこと。

ここのメンツはともかく、ハーヴェはまだミセリアと話したこともない。人となりが全くわからない相手と婚約者が仲良くしていたらそりゃあ嫌だな。

あまり仲良くなりすぎない。それはわかってるけど……ミセリアはどう頑張っても友達がいるようなタイプじゃない。今こうして私たちとは同じチームだからというきっかけがあったけど、それがなければ、きっとあの時のように彼は一人でいるだろう。

いくら警戒しないといけない他国の王子でも、一人でなんてそんな寂しいこと許されるはずがない。学生ぼっちほど黒歴史はないんだから。


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