66話:王弟の娘(教皇視点)
「では、書類の準備を速やかにお願いいたします。国王への申請は、我々が行うより、トレーフル様にお渡しした方が早いかもしれません。陛下から許可が降り次第、各家門との話を行います。」
部屋を出て、後ろからついてくる神官達にそれぞれ指示を出す。
予定していた通りにことが進んでよかった。これで無駄な時間を消費する必要もない。
「あの、教皇様」
「何でしょうか」
「今回のこと、事前に予想されていたのですか?」
「そうですね」
予想、というのは少し違うのかもしれない。
元々、私も白魔法を使える彼女、アンジュをリブルー侯爵家に養女として迎え入れようと考えていた。
どんなに多くの人を導き、助けたいと思っても下賎な考えだがお金がなければ助けられる命も助けられない。
そう考えていたが、昨日彼女を王弟の娘であるトレーフル様が屋敷に連れて行ったことでもしやと思った。
トレーフル様の噂はよく耳に入ってきていた。聡明で、剣術、魔法にも長けている女性で、何より悪を嫌っている。
「リブルー侯爵家の噂は有名ですからね。あの場で私がリブルー侯爵家を進めた場合、きっとトレーフル様は反対されていたでしょう」
「そうですね。例え高位貴族で支援金が高いとはいえ、悪い噂がある貴族との繋がりは教会側にとってもいい物ではありません」
「えぇ。なので、私は最初からホーリーナイト伯爵の養女にするつもりでした。それでも資金面は不安があります」
だから、もしあの場でトレーフル様本人が提案しなくても、私の方から頭を下げてでも資金援助をお願いするつもりではいた。
彼女もまた、私の考えを理解されていたようでしたけど。
「あれでまだ成人前ですか。末恐ろしいですね」
「それにしては、ずいぶん楽しそうですが」
「ふふっ。確かに。今後彼女がどのように行動するのか楽しみです」




