65話:教会
教会と王族は対立に近い関係性だった。
というのも、教会は一つの組織として独立した国のような形だった。
本来、教会も国の領土にある以上民であり、罪人を勝手に殺すことは許されない。
しかし、教会で犯した罪人は教会で裁かれる。
貴族に支援してもらっているのに独立国家宣言してるのもどうかと思う。というのが本音だけど、そこはあえて口にはしない。
「全員が全員、良き人間というわけではありません。人は過ちを犯す生き物ですから。しかし、反省できずに悪事を犯し続けるのはあまり良くないと私は思います」
「と、言いますと?」
私はテーブルの上に、いくつもの書類を置いた。
教皇はそれの一つを手にし、わずかに口元を歪ませた。
「不正の証拠です。何の、とは聞かないでくださいね」
「これほどの量、集めるのに苦労したでしょう」
「私には優秀な部下がいますので」
それらは全て教会関連の不正の証拠書類。
リブルー侯爵家はもちろん、教会に勤める数名の神官の不正証拠。並びにリブルー侯爵家の支援金で建てられた教会や孤児院の不正証拠。
物によっては死刑待った無しの証拠なんかもある。
「それでもたった一日でこの量……まさか事前に?」
「一応次期国王の従妹ですから。国のために行動しなければ」
この書類はコピーで、すでに元の書類は国王の手の中にある。教皇が神官を捕まえることを許可しようとしまいと、すぐに王国騎士団が教会を抑えることになっている。
「そうですね。確かにリブルー侯爵家の悪い噂は耳にしています。しかし、多くの子ども達や信者を救うためにはお金が必要です。支援してくださる貴族がなくなるというのは、我々としても困るのです」
何ともわざとらしいこと。教皇も私がどんな提案をするのかわかっているのか。それとも本当にわかっていないのか。
「では、その枠はリブルー侯爵家に変わり、我がグリーンライト家が教会を支援しましょう」
また教皇の口元が歪む。やっぱり、予想していた答えだったのだろう。
とはいえ、家の後継は私じゃなくてアルだから、色々手続きはお父様に相談しなければいけない。
それと、我が家の支援を受けるということは、国との関係を友好的な物にしなければいけない。
王族と、教会が手を取りあい、より良い国にする。
「もし、グリーンライト家だけでも不十分であれば、我がプラテリア家も支援いたします。まぁ私が跡を継ぐわけではないので、トレーフル様同様、父上と兄上に相談しなければいけませんが」
公爵家順位1位の我が家と、2位であるガーデンハルク家の夫人の実家であるプラテリア家から支援を受ければ、今までよりもお金で不自由することはない。孤児院や教会はもちろん、子供たちへの食事やボランティア活動にも多く貢献できる。
その申し出に、文句など当然なく、教皇は我々の申し出を受け入れてくださった。
あくまで私たちからの申し出を受け入れただけで、手続きをする中で教会と家門どうしで色々と追加要求などはあるだろうから、そこは申し訳ないけどお父様に任せることにする。
「そうと決まればすぐに手続きを行いましょう。トレーフル様のことです。すでにホーリーナイト家には話をしているのでしょう」
「教皇様は侮れない方だ。まさか全て予想されていたのですか?」
「まさか。私はただ、神が導かれたとおりに行っているだけです」
子供のような笑みを浮かべ、教皇は同席していた神官達と共に部屋を出て行った。




