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62話:自分の恋路について

二人がきっと楽しくお話ししてるだろうその頃、私は訓練所でアルの朝練を見学していた。

いつもなら私も参加しているところだけど、今日はアンジュと一緒に教会に行かないといけないからお休み。


「や!」


あれから数年。可愛かったアルも素晴らしい美男子に成長した。

ガタイも細身だけど筋肉質で私好みに成長してくれた。いやー眼福眼福。

ちなみに、ラルもずいぶんと美人さんに育っていた。若干悪役令嬢のようなややつり目だけど、アルと一緒にいる時はずいぶん表情が柔らかくて、アルラルは私の推しカプの一つ。ちなみにもう一つはルヴィシルである。あぁでも今回のことでキリクとアンジュがいい感じになれば、この二人も推しカプになるかな。


「姉様」


若干汗をかいたアルがこちらに駆け寄り、少し辺りをキョロキョロする。

誰か探してるのかな?


「ジルクとステルラはいないのですか?」

「ステルラは今日、朝からマナーの勉強。ジルクはこのあと出かけるから馬車の準備をお願いしてるの」

「そう、ですか……」

「どうして?」

「剣の相手をして欲しくて」


遠回しに、いま周りでゼェーゼェー言ってる兵士では相手にならないといってるようなものだ。

確かに彼らも弱いわけじゃないけど、私やアル、ジルクやステルラに比べたらそれは、ねぇって感じ。


「午後には戻る予定だから、その時でいいなら私とジルクが相手しようか」

「っ!はい!是非お願いします」

「それまでは、兵士の実力アップお願いね。公爵家の兵士や騎士が弱いとダメでしょ?」

「任せてください。姉様ほど厳しくはできませんが、全力でやります!!」


にっこりと笑みを浮かべながらすごい事を言う我が弟。見てよ、疲れ果ててるはずなのに、アルの言葉にみんな怯えてる。

でも、成長しても浮かべる笑顔が可愛くてつい許しちゃう。

あぁ、そんなに嬉しそうな顔しちゃって。いくつになっても可愛いなこんにゃろうめ。

アルは他の兵士たちの元に戻り、「もう一本」とヘロヘロの兵士たちを叩き起こし訓練を再開した。

あの日、私が天使信仰に捕まってから、アルは随分と熱心に稽古や勉強を行っていた。

それは、アルだけじゃなくて他のメンバーもだった。まるで己の未熟さを恥じるように。


「ねぇ、アニー」

「はい、トレーフル様」

「最近、ハーヴェから連絡はあった?」


昔は頻繁に屋敷に来ていたハーヴェも、ここ数年は年に数回しかこなくなった。

顔をあわせる時はいつも通りだけど、どこか焦りというか悔しさというか、そういうのがわずかに見える。


「いえ、特にはございませんが……」

「……ねぇ、何をニヤニヤしてるの?」


手で口元を隠してるけど、表情で笑ってるのはすぐにわかる。何がそんなに楽しいのかしら。もしかしてバカにされてる?


「寂しいのであれば、手紙を書かれてはいかがですか?喜ばれますよ」

「別に寂しいわけじゃない。ただ、昔みたいにはこなくなったなって」

「おや、頻繁にこないで欲しかったのでは?」

「それは……」


やめた。何か言えばいうほど何かにはまるように感じた。

それに、これでは私が寂しがってるみたいだ。こんなことがハーヴェに知られたら……考えるだけでも恥ずかしい。


「アニーこそ、婚約の話とかないの?」

「私ですか?いえ、そのような話は。それに、私のような貧乏貴族の娘をもらってくれる人なんていません」


自嘲気味の苦笑いを浮かべるアニー。まぁ本人はそう思うだろうけど、実際そんな貴女をずっと昔から想い続けている相手がいるなんて、思ってもみないでしょうね。


(ジルクはいつになったら、アニーに求婚するのかしら)


深々と溜息を零しながら、私は時間までアルの訓練を見つめた。


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