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58話:教会と白魔法

カフェの個室へとやってきたのは、若いとはいっても30代前半の男性が数名だった。

教会の神官服に身を包んだ彼らは、物語に登場するアンジュを迎えにきた人たち。本編はアンジュの家だけど、今回は私が連れたことで、ここへと足を運んだ。


「あら、教皇様ではないですか。こんにちは」

「おや、トレーフル様。このようなところでお会いできるとは光栄です」


教会は、魔法と縁の場所であるため、私は何度か足を運んだことがある。そのため、教皇様とは顔見知だった。


「ふふ。それで、なぜここへ?レディーが人目を避けてお茶会をしているというのに、無粋ではなくて」

「お邪魔してしまってすみません。急ぎの用だったため、無礼をお許しください」

「……彼女に用事がある、ということでよろしいかしら」

「……そのような発言をされるということは、トレーフル様はご事情をご存知のようですね」

「えぇ。白魔法が使える平民がいると聞けば、教会も黙っていないでしょうから」


本編でも、白魔法という明確な発言はなかったが、教会でたまたま現場を見ていた住人の話を聞いてアンジュの家へと行き、教会へと連れて行って確かめることとなった。

結果として、平民でありながら希少価値の高い白魔法が使えるということで、身の安全も考えて伯爵家の養子となるのだが。


「我々は、白魔法とは断定していませんが、トレーフル様は断言されるのですね」

「実際にその現場に立ち会いましたから」


それ以前に作者ですから知ってますよ。

アンジュは俯き、出会った時と同じように青い顔をしていた。そうよね、今の状況を話す前にこの人たちが来たからな。彼女にとっては、連れて行かれれば物語通りになってひどい目にあうと思ってしまう。


「教皇様、一つご相談させていただいてもよろしいでしょうか?」

「何でしょうか?」

「1日だけ、彼女を私に預けてくださりませんか?」

「……理由をお聞かせいただいても?」

「彼女も戸惑ってます。少し、気持ちを落ち着かせたり、自分がどんな力を持っているか私の方で説明しようかと。歳も近いので、たくさんの大人たちに囲まれるよりいいかと」


遠回しに、「こっちで説明するからとっとと帰れ」ということです。

というか、説明しなくても彼女は転生者だから力のことはいちいち説明しなくても問題ないだろう。

問題は、このまま私の行動でどう本編から変わったのか説明しないまま彼女が連れて行かれれば、彼女自身の精神的負担にもなってしまう。


「ご安心ください。グリーンライト家の人間として、必ず明日彼女を教会に連れて行くと約束します」

「……わかりました。貴女を信じます。お茶会の邪魔をしてしまい、申し訳ありません」


教皇様が物分かりの良い方で本当に良かった。

彼らは軽く会釈をすると、そのまま部屋を出て行った。

遠くなって行く足音を確認すると、深々とため息をこぼす。


「はぁ、何とか追い返せた」

「あ、あの……」


あたふたするアンジュに、私は苦笑を浮かべる。

とりあえずは、物語を曲げることには成功した。この後の展開は、彼女の意志によって大きく変わって来ることになるけど。


「とりあえず、今日はうちの屋敷に泊まってもらえると助かるのだけど。その方が、話もできるし」

「屋敷……っ!グリーンライト家にですか!?」

「うん。行く前に貴女がお世話になってる施設には挨拶に行くつもりだけど」

「で、でも……」

「話、聞きたいのでしょ?私もあまり、長く家を開けることはできないの」


家の方が、長い時間話もできるし、何よりこうやってアンジュに会ったからやらないといけないこともあったりする。


「長い時間話す事にもなるし、何よりこうやって同じ転生者として会えたのは何かの縁だから、私としては仲良くなりたいの」


前世は先生とファン。それこそ大人と子供だったけど、今は同じ年の女の子。友人が多くて悪いことはない。


「……わかりました。粗相のないようにします」

「そんな固くならなくていいよ。屋敷の人みんないい人ばかりだから」


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