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50話:白い猫

ステンドグラスを砕いた天使……もとい、ステルラが姿を現した。

流石にギリギリまでやり過ぎたかな……こんな幻覚見るなんて……


「ぁ……あ……あぁ……な、なんてこと!」


ロザリーは、なぜかステルラを見て歓喜に震えていた。

ロザリーだけじゃない。他の神官も、信仰者もみんなそうだ。


「白髪に金色の目……天使に性別はないと言います。まさに、私たちが求めたリネア様のお姿そのもの!」


その言葉に賛同するように、そして、ステルラがもうリネアそのもののように、彼に信者たちが死を求めた。

いや、猫耳尻尾生えてんじゃん。いいのかホント。


「なんて理想の依り代。不純物である獣の姿を取り除き、すぐさまっ……」

「動くな!!」


部屋の扉が勢いよく開き、そこから多くの騎士たちが流れ込んできた。

あぁよかった。ここの場所特定できたんだ。


「トレーフル様!!トレーフル様!!」

「ご主人様!!」


涙をボロボロこぼしながら私を見下ろすシルビアと不安混じりの苦しげな顔で私を見下ろすステルラ。

あぁそっか。私背中ぶすぶす刺されて死にかけてたんだ、すっかり忘れてた。

にしても複眼だなぁ。美少年と美少女が私のことを見下ろしてる。

その顔もいいけど、私は二人が笑ってる顔が見たい。

私はシルビアをぎゅっと抱きしめて、そしてステルラを突き飛ばした。


「アモル、さ…ま……」


横になっていた祭壇が二つに割れる。後ろの状況がどうなってるかわからないけど、きっと入口は開いてる。


「ご主人様!」


私に突き飛ばされて驚いていたけど、ステルラはすぐに手を伸ばす。

だけど私はその手を取らず、ただ笑みを浮かべ、残った力を振り絞って口にした。


「待っ、てて……」


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