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47話:死を望み、天使に救いを求める者ら1

連れ去られてどれだけの時間が経っただろうか。

押し込まれた場所は窓も何もない、石でできた部屋。目の前には鉄格子。

まぁ言わずもがな、牢屋の中ですよ。

頭のおかしな連中に連れてこられ、彼らは私だけをここに入れてシルビアだけはどこかに連れて行ってしまった。

道中は、目隠しをされて馬車に入れられたけどどこかははっきりしている。


「黒紫の森に拠点作るとか、頭おかしいにもほどがあるでしょう」


危険区域のレベルMAXに近いやばい森。

状態異常の植物が生え、それを主食にして耐性をつけた魔物がうじゃうじゃいる危険な場所だ。

空気も最悪で、場所によって毒が漂っていたり、体が痺れたりする、普通の生き物が生活できるはずがない場所だ。

そんな場所で私は普通に息ができている。恐らく、拠点の周りに結界が張られていて、生きられるようになっているんだろう。


「その上、魔法封じとかやばすぎ」


空気が澄んでいないせいで、精霊の姿も全くない。

拘束具も特殊なもののようで簡単には外すことができない。


『トレーフル。なぜ手を出させないのだ』


脳内に直接アモル様の声が届く。まぁこちらの様子はわかってるよね。

もちろん、お城でもそうだったけどアモル様の力をお借りすれば全ては簡単に解決する。でも、それはまだダメだ。


「アモル様のことはまだ公表していません。ここで下手に知られれば相手に利用されます」

『そんなことを言っていられない。お前のいる敷地内に気分が悪くなるほどの強い闇の力を感じる』

「闇……危険なものですか?」

『そうだな。いやな死の匂いがする』


アモル様の声は今までにないほどに余裕がない。それほど危険な場所だということだ。これは早く撤退した方がよさそうだ。

私だけ逃げるのは簡単だけど、今シルビアがどこにいるのかはわからない。

アモル様に尋ねても、場所的にも闇の力が大きいせいで、ラルの時のように場所の特定ができないとのことだ。


「シルビアを置いていけない……」

『トレーフル。あまり自分を過大評価するな。中身は大人でも、体はまだ幼子だ』

「わかってます。でも、アモル様が危険だという場所に大事な親友を置いてはいけません」


アモル様の気持ちはわかる。でも、シルビアをここに連れてきてしまったのは私のせいだ。私がなんとかしないといけない。

その時、カツカツと足音が聞こえる。1人ではなく、約5人の足音。

音はどんどん近づき、やがて私がいる牢屋の前で止まる。


「居心地はいかがでしょうか、トレーフル様」

「……最悪ね。こんなところに入れられるなんて、人生で最初で最後かも」


鉄格子を挟んだ向こう側。私たちを連れ去ったメイドと思っていた女は、にっこりと笑みを浮かべていた。


「それは良い体験をさせてあげることができました」

「まぁいいわ。それより、シルビアはどこにいるの?」

「ご安心を。シルビア様は丁重に扱っていおります。今は、ベッドでお休みになっています」


ベッド?てことは、私がいるような部屋とは違う部屋にいるってことか。

待遇は私よりいいみたいだけど、でもどうして?


「貴方たち、何が目的なの?」

「そういえば、名乗っておりませんでしたね。私はロザリー。神官です」


神官?見た目からそんな要素全くないけど。どちらかといえば、闇の組織感が半端ない。


「我々は多くある神を崇める宗教の中では少しばかり変わっていましてね、天使を崇めているのです」

「天使?」

「はい。我々を救ってくださる天使様」


手を組み、陶酔した顔で天を仰ぐロザリー。

普通宗教は神様は崇めるものだけど、天使を崇めるなんて……天使は所謂神の使いだから、崇める存在ではないはず。


「その天使と私たちになんの関係があるの」

「えぇ、そうですね。まぁ簡単なことです」


ロザリーはさっきと同じように、にっこりとした笑みを浮かべて頭の狂ったことを口走った。


「あなた方には、我らが崇める【死の天使、リネア】様をこの地に降臨させるための依り代と生贄になっていただきます」


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