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43話:ペリドットのアクセサリー

それから数日後。

無事にプレゼントの準備が整った。

そして、明日はいよいよルヴィーの誕生日。

とは言っても、公の場に参加できない私は、その次の日に集まってお祝いする形になる。


「どうぞ」

「あ、ありがとうアニー」


アニーが出してくれた紅茶を一口飲む。

とても落ち着く味で、体の中の疲れが溶け出して行くような感覚だった。


「今日ステルラは?」

「カラス様のほうにいかれてます」

「そっか。頑張ってるね」


カラス、というのはお父様お抱えの情報部隊の部員の一人で、現在は私がお借りしている。

彼には、ステルラの教育係もお願いしている。

従者の指導と情報員の仕事を日で交代に行ってもらってる。もちろん、おやすみもあげてるよ。そんなブラックなことはしない。


「物覚えもいいので、ある程度は任せてます」

「そっか、それは良かった」


見た目がよく、まだ幼さもあるため数名のメイドが保護欲というか母性本能をくすぐられており、必要以上に甘やかすように教えていることは耳に入ってる。まぁ実際はかなり自分に厳しいようで、周りの甘やかしは断ってるみたいだけど。


「ふふ」

「どうしたの?」

「いえ、ステルラが来てからは、周りがヤキモチを焼いてるようで」

「周り?誰のこと」

「アルヴィルス様やハーヴェンク様。それに、シルビア様やラルエリナ様ですね」


なぜ彼らがヤキモチを焼くのだろう。

確かにステルラは可愛いし愛でたくなる。

知識もそんなにあるわけじゃないから、色々教えてあげたくなる。でも、ヤキモチを焼かれるようなことかな?


(これは、わかってらっしゃらないようだな)

「あ、そういえばプレゼントに夢中でドレス決めてないや」

「それでしたら、奥様がすでに決めてらっしゃいますよ」

「え、何の相談も受けてない」

「前のお茶会のこともありますから、先に決めないとまた男装されるかもしれないと思われたのかもしれないですね」

「さすがに今回はしないよ。まぁ成人の儀の時はわからないけど」


とりあえず、ドレスのデザインを確認したいからとアニーに案内をしてもらった。

成人か……もうその時期になれば原作本編が始まる時期は目の前になる。

今はまだいいけど、その時期になればしっかりと立ち回りにを考えないといけない。

みんなが幸せになるためには、原作通りにならないようにしないといけない。

そのためには色々と準備をしないといけない。


「お嬢様?」

「ん?何でもないよ。早く見に行こう」


せっかくなら、本編始まる前にヒロインに会いに行くのもありかな。

この前街に行った時にもしかしたらって思ったけど、流石に会えなかったな。

細かな設定は書いてなかったけど、ヒロインはどこにいるのかな……会って話して見たいな……

そのあとは、明日のパーティーの服を確認し、座学の勉強、魔法の訓練を行い、夕食をとった。

部屋に戻って時間までのんびりしていた時、扉がノックされた。

姿を現したメイドは、手に何か箱を持っていた。


「奥様より、頼まれていたものをお持ちしました」

「わ、ありがとう。ご苦労様」


メイドは会釈をして部屋を出た。それとちょうど入れ替わりでステルラも部屋にやって来た。ちょうどいいので、三人を部屋のあるに座らせた。


「お嬢様?」

「どうされましたか?」

「えっと、実は3人にあげたいものがあったの」


私は3人の前に箱を置き、蓋を開けた。

そこには、3種類のアクセサリーがある。


「これは、私から三人の。私の専属って証の贈り物」

「お嬢様」

「いつもありがとう。特にアニーとジルクは2年間、私のそばにいてくれていた。これは、私からの気持ちだよ」


ジルクにはチェーンのついたブローチ。服につけやすいかなって。

アニーには髪飾り。髪をいつも束ねてるから実用性あると思って。

ステルラにはブレスレット。なるべく邪魔にならないものがいいと思ったから。

そして、全員の贈り物には私の髪色と同じ黄緑色の宝石、ペリドットを埋めてある。同時に、オーダーメイドとわかるように我が家の家紋も彫ってある。


「ありがとうございます、お嬢様」

「大事にしますね」

「ぼ、僕ももらっていいんですか」

「もちろん。3人とも、これからもよろしくね」


主要メンバーももちろんだけど、私の身の回りにいる人たちも幸せになってほしいと思っている。

この三人も例外じゃない。

彼ら彼女らもこれからの将来不幸がなく、幸せな暮らしをしてほしい。

これは、ささやかな私からのお守りでもある。


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