表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/464

4話:幼い主人公と次期婚約者

物語の主人公。第一王子のルーヴィフィルド・サージェント。

この国の次期王で、トレーフルの従兄。

彼とトレーフルの仲は良くない。理由は魔力の量の差だった。

女であり、王弟の娘で公爵となっているトレーフルよりも魔力量が低いことに対し、彼は劣等感があった。しかし、彼が彼女を毛嫌う理由は他にもあった。

本編上、魔力の暴走がきっかけで魔法を使わなくなった彼女に対し、才能を持ちながらもそれを磨かず、ないものとしようとするのが腹立たしかった。

だから、彼女がヒロインとの仲を指摘するも、彼はトレーフルに何度も反発をしていた。


「怪我も大したことなさそうだし、大げさにするほどなのか?」


設定上、そういうプライドが高い人間は俺様が多いということもあり、彼の性格は傲慢だ。だけど、主人公であるため、しっかりと根は優しく大切な人をしっかり守る正義感を持っている。


「治癒魔法で治していただきましたから。怪我が治っても一応安静にするように言われてまして」

「ふん。魔力を暴走させるなど、それでも王族の血を引いてるものか?」


こういう態度もプレイドを守るためのものだとわかっている。だからだろうか、その強気な態度が逆に可愛く見えてしまい、思わず笑ってしまった。


「何を笑っている」

「いえ、ごめんなさい。お見舞いに来てくれてありがとう、ルヴィー」

「そ、その名で呼ぶな!俺は次期国王だぞ!殿下と呼べ!」

「まぁまぁ殿下。トレーフル様は従妹なのですから、良いではないですか」

「うるさい。大体、なんでお前がいるんだ!」

「陛下に、殿下の護衛を頼まれたので」


ルヴィーの専属護衛騎士であり、将来的に私の婚約者となるハーヴェンク・カルシスト。

彼には妹が一人おり、その子は将来的にアルの婚約者となる子だった。

カルシスト家は騎士の家系。代々王の騎士として仕えており、最も王族に忠誠を誓う家系だった。

彼と私の婚約が決まるのは、本編での記載にはないが、設定では今から2年後となっている。

貴族の序列で考えれば、王族の血が流れているグリーンライト家は1位。その次が代々王の宰相を務めるガーデンハルク家。その次がカルシスト家。

ガーデンハルク家は令嬢のシルビアが将来的に王妃となり、去年生まれたばかりの弟が後を継ぐ。

私の実家であるグリーンライト家はもちろんアルが継ぎ、その婚約者が序列順でハーヴェの妹。

そして、カルシスト家の跡継ぎはもちろんハーヴェ。そして、序列で考えれば王族とは言え、私がその婚約者となる。

どのカップリングも作者的には大変大好きなんですが、特にトレーフルとハーヴェ。この二人が本当に好きだった。


「というのはまぁきっかけでしかないかな。元々見舞いに行きたいと父にはいってあったんだ」


ハーヴェはトレーフルにこの時点で恋をしていた。そして、婚約が決まると一層彼女を愛した。トレーフルもまた、歯の浮くような言葉に対してツンとした態度をとるが、彼をひどく愛しており、なんというか主人公とヒロインよりもこの二人の恋愛を書きたいほどだった。


「ありがとうハーヴェ。殿下もお見舞いに来てくださってありがとうございます」

「別に。俺は父上に言われたから来ただけだ。一応……な」

「それでも嬉しいです。色々ご心配をおかけしてすみません」


物語は本編よりもずっと前。仲の悪さは今なら改善することができる。彼は確かに私に劣等感があった。だけど、同時に才能を認めてくれていた。


「殿下、もしお時間があればまた足を運んでくださいませんか?」

「は?何でだ。俺は暇じゃないんだ」

「わかってます。しかし、一応従兄妹同士ですし、私は殿下と仲良くなりたいんです」


そう口にすれば、彼は驚いたような表を浮かべる。隣にいるハーヴェも同じだった。

記憶を取り戻す前、元のトレーフルだったら絶対にそんなことは言わなかった。もしそこを突っついてきたら、「死にかけましたから」と言えばいいと思っていた。

才能はトレーフルの方が持っている。だけど、王位継承権はない。

王位継承権はルヴィーが持っている。だけど、才能はない。

お互いに持っていないものを、お互いの持っているもので補いたいと、私は思った。それは、彼が将来の婚約者に同じようなことをして欲しいからだった。


「仲良くなりたいのは、殿下だけかい?」

「もちろん、ハーヴェとも仲良くなりたいよ」

「光栄だよ、トレーフル。僕も同じ気持ちだ」


彼は私の手を取ると手の甲に口づけをする。まだ一桁の幼い男の子だけど、女性の扱いには慣れているようで少し戸惑ってしまう。

その様子を見ていたルヴィーはぼそりと「キザなやつだ」と呟いていた。


「まぁ、気が向いたらまた来てやる。感謝しろよ」

「僕も、また尋ねるよ」


時間的には30分も経たないうちに彼らは屋敷を後にした。

嵐のようなお見舞いだったけど、屋敷の人間以外と話したのはこれが初めてだったため楽しかったし、何より物語の主要人物たちを見れたのはよかった。

まだ本編の歳ではないにしろ、とてもいい顔立ちをしている。漫画化したら絵柄次第では女性人気が出そうだ。


「暇だなぁ……」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ