348話:本心2
「あーもうムカつくな!行きたいに決まってるでしょうが!」
めちゃくちゃ理不尽だ。あれだけ行かせないようにしていて、みんなのことを思って行かないって言ったのに、なぜかルヴィーにブチギレられて、好き勝手言われて、本当はいきたいんだろ!って……あぁいきたいに決まってるだろ!
他国だし、アラクランは魔法が盛んだし!エルフやドワーフ、獣人の国も領土内にあるって聞く。興味ないわけがない!めっちゃいきたい!
でも、でもね……私がいくとみんなついてくるでしょ。もし本当に何か大きな出来事があった時、私があの時行くって言わなきゃって後悔する。
私は、自分よりもみんなが傷つくのが何より嫌だって、わかってるでしょ。
「私だって、今回ばかりは平和に過ごしたいよ!でもね、せっかく招待されてるなら、アラクランの魔法を、もっといえばリーベ様の使う精神系統の魔法も習得したい!全部を絞り尽くしたいよ!」
「おい、欲がダダ漏れだ。誰もそこまで聞いてねーよ」
「うるさい!とにかく私は行きたい!でも、それでみんながついてきて傷つくぐらいなら行かない!絶対に!」
「……わかった」
ルヴィーはゆるゆると立ち上がり、ふらふらしながらその場をさろうとした。
私を含め、その場にいたもの全員が、唖然としてその後ろ姿を見つめた。
「なんだったんだ……」
怪訝そうな顔をする私に対し、シルビアやキリク、アンジュたちはなぜか笑い合っていた。
それから数日、ルヴィーはおやすみをした。シルビアに訪ねても首を振って知らないと答えた。
彼がまた学園に登校してきたのは、3学期最終日。
授業が終わってすぐ、私はルヴィーに誘拐され、馬車に乗せられた。そこにはなぜかニコニコ笑顔のハーヴェもおり、連れてこられたのは王城だった。
何がなんやらわからず、私はテンパるばかり。
そして、案内された部屋にいたのは、陛下とガーデンハルク公爵、カルシスト公爵、プラテリア辺境伯、イグニス子爵、そしてお父様だった。
それから、なぜかナーヴィス先生の姿まであった。