27話:満月の日3
同日の夜。私は明日のための最終チェックを行っていた。
昼間、ラルエリナが訪ねて来たことは、すぐに両親とアルの耳に入っていた。
私は言ってないよ。多分、使用人の誰かが仕事で報告したのだろう。
訪ねて来た理由を聞かれたが、私はそこまで酷い女じゃない。
「楽しくおしゃべりしながらお茶をしただけです」
まぁ納得はされなかったけど、両親もアルも、深くは聞いてこなかった。
問題としては、きっと泣いて帰ったであろうラルエリナが家で何か言ってないかが心配だ。
流石に私のことを悪く言ってない……と思いたい。
「……灯火」
魔法でサイドテーブルに置かれているランプに光を灯し、そのままベッドにダイブする。
明日、あの剣王に会えると思うと胸が高鳴って寝付けない。遠足前夜って感じ。
アルも来たがってたけど、彼は次期当主として色々学ぶことが多いこともあり、今回はお預けになった。
私の方でしっかりとへーリオス様と縁が結べたら、今度はアルも連れて行ってあげようかな。
「そういえば、もうすぐルヴィーの誕生日だな……プレゼント準備しないと」
王子の誕生日ということで、盛大にパーティーが開かれるが、当然私もアルも、そしてシルビアもそこに参加できないため、前日か後日か、または当日のパーティー前に渡すことになる。本当なら、ちゃんとパーティーに参加したいけどね。
「何がいいかなぁ……シルビアに相談しようかな」
その時、軽く扉がノックされた。
こんな時間に誰だろうと思いながら返事を返せば、ゆっくりと扉が開き、ひょっこりと顔を出す。
「どうしたのアル。こんな時間に」
パジャマ姿で、なぜかまくらを抱えたアルが尋ねて来た。
どうした少年。眠れないのかい?
なんて、内心ふざけながらも、姉らしく優しく手招きをしてベッドのそばまでこさせた。
「あの、姉様……今日、一緒に寝てもいいですか?」
「ふふっ、珍しいね。アルがそんなこと言うなんて」
「明日、姉様がいないと思うと、急に寂しくて……」
「たった1日でしょ。今からこんなんじゃ、私がお嫁に行った時はどうするの?」
ベットの上で、一緒にゴロンと横になる。
アルは少しだけ口元がらせて、拗ねるような表情を浮かべる。可愛いなぁ♪
「その時はもう、僕も大人ですから大丈夫です」
「そうだね、今はまだ子どもだもんね」
「はい、なので……子供の間は甘えさせてください」
「うん、いいよ。私よりも、アルの方がいっぱい頑張ってるしね」
「そんなことは、ないですよ。姉様の方が頑張ってます」
「私は好きでやってるから」
私が優しく頭を撫でてあげれば、アルはゆっくりと目を伏せる。
「姉様……子守唄、歌ってください」
「うん、いいよ」
アルが眠るまで、優しく頭を撫で、少しだけ魔力を込めた子守唄を歌った。
ちょうど歌い終わった頃には、アルはすでに夢の中に行っており、私もそろそろ眠ろうと思い、灯りを消し、ゆっくりと瞼を閉じていった。




