20話:友の共有2
「ということがあったの。すごく大変だったぁ」
それから数日後。また同い年4人でお茶会を開いた。今回はちゃんと、ハーヴェにも招待状は送ったよ。別に、あとあと怖いからとかじゃないよ、うん。
私は、あの日の話を3人にした。アモル様とウェールス様と出会い。友達の証をもらったことや、精霊が見えるようになったこと。
いやー、一人で長々話してしまった。
「さすがです、トレーフル様!」
「待て、情報が多い……」
「あはは、本当にね」
目を輝かせるシルビアとは逆に、頭を抱えるルヴィーと苦笑いのハーヴェ。まぁ私もそっち側だったら二人と同じ反応するかな。
「しかし、お怪我がなくてよかったです」
「私も死ぬ覚悟だったよ。最初、アモル様全然話聞いてくれなくて」
「相手は神獣だから当然だろう。生きてる方がすごい」
神獣は私たち人間とは違う、神に近い存在。その姿を目にすることも、同じ場所に立つことも、触れることも、言葉を交わすことも、許されない限り行えない。神への信仰心が強い人間からしたら、私は異端かもしれない。もしかしたら将来、魔女と言われて火炙りにされるかも。親しい相手以外には口にしない方がいいかな。
「ねぇ、トレーフル。君の手を握れば、精霊を見ることができるんだよね」
「え?あぁうん。そうだよ」
「じゃあ、君に触れる許可をもらえないだろうか」
ニッコリと笑みを浮かべる彼は、私の右手に触れそうな位置に自身の左手を持ってきた。
とても紳士的で、甘い笑顔。それに言葉も丁寧で、普通の令嬢であれば顔を真っ赤にして戸惑うだろう。でも残念、私には通用しないわ。
「もちろん構わないわ。ルヴィーはこっちの手ね」
「あ、あぁ」
私の手は両側の男子二人によって塞がれてしまった。どうしよう、お菓子とお茶が飲めない。
私の気持ちなど気にもしてない二人は、テーブルの上でお菓子を食べてる精霊に釘付けだ。
「あの、トレーフル様」
「ん?」
「ど、どうぞ」
特に何も言っていないけど、私の両手がふさがってお菓子が食べれないことに気づいたシルビアが私にクッキーを差し出してくれた。
美少女からのアーンとか。嬉しい限りだ。神様ありがとう。
「ん。ありがとうシルビア」
「い、いえ」
「あぁそうか。二人でつなぐとトレーフルが何もできなくなっちゃうね」
「交代で繋ぐか」
「ルヴィーさん。一応従兄妹同士とはいえ、隣に将来の婚約者候補がいるんですよ?女の子と手を繋ぐのはどうかと……」
「む、不愉快か?」
ルヴィーがシルビアに尋ねれば。きっぱりと否定した。しかも、この子は何を言っているのか、二人にはそのまま私の両手を塞いでてほしいと言ったのだ。いや、流石にお菓子食べたい。お茶飲みたい。
「私が食べさせますので大丈夫です」
「いや、大丈夫要素どこ?」
「シルビア嬢だけずるいな。僕もトレーフルにお菓子をあげたい」
「私はペットか!?」
とまぁこんなやり取りをしながらも、お茶会は楽しいひと時となった。
3人を見送り、私は部屋に戻ってベッドに横になる。
前世の記憶を取り戻して数ヶ月。めまぐるしいというかなんというか、まず本編まで頑張れるか不安になってきた。
「ない設定も結構あるしな」
神獣のことや、トレーフルが精霊を見ることができるようになる。
こう言った、ないものが生まれたということは、やっぱり私が書いたものとは異なる世界だということがわかる。
きっと、本編までに色々やれば運命は変わり、全員がハッピーエンドにきっとなる。
「まぁ勉強やマナーは面倒だけどね。やるしかないか」




