194話:剣舞祭2(???視点)
控え室での生徒間でのやり取りが行われている時と同時刻。
各国の王族が腰を下ろす貴賓席では、学園長が挨拶をしていた。
東西南北の格国王と王妃たちは優雅な笑みを浮かべ、中央国の将来有望な生徒たちの戦いぶりを楽しみにしていた。
「特に今年はとても優秀な生徒が勢揃いしており、魔法科の方は我が国の王太子殿下も在籍しております」
「まぁ、ルーヴィフィルド殿下が。それは期待ですな」
これから行われる試合はまさに魔法科の試合で、王族たちも期待をしている。
そして、話は騎士科に変わり、そこには南の国であるクピィドゥスの第五王子であるクロイツ・ファヌド・クピィドゥスが在籍しており、彼も選抜メンバーに選ばれていることもあり、南の国の国王に話が振られる。
「……あれとは数年会ってないからな。どれだけ成長したのか楽しみだ」
「それはそれは。彼は行動には少しばかり目に余りますが、実力はしっかりとあるおかたですから」
「そうだな。しっかり鍛えられていないと困ってしまう……」
ニヤリと笑みを浮かべながら、クピィドゥス王は足を大きく開いて腕組みをする。
その風格は少しばかり危うさを纏っており、他国の王たちは無意識に彼と距離をとった。
「今回は大きな大会ということもあり、警備はしっかりとしております。今回は魔塔にも警備をお願いしておりますので、何かあればしっかりとお守りできます」
学園長がそう言った後、スッと四名の男が立ち上がって一礼をする。
彼らは魔塔の序列4位から1位の者たち。
今回は序列4位のナーヴィス・ルクレイドシュールが学園の教師として在籍しているということもあり、彼らに警備の協力を要請し、承諾をした。
「なので皆さんはごゆっくりご観戦ください」
学園長が再び一礼をし、そのまま中央国の国王の隣に腰を下ろした。
《それではまずは第一回戦!東側……》
放送部員の言葉と共に、左右の入り口から生徒たちが姿を表す。
生徒の姿が視界に入った瞬間、会場内が震え、男はニヤリと口元を歪ませた……