193話:剣舞祭1
《今年も始まりました!!魔法剣士学園の伝統イベント!剣舞祭!》
ついに剣舞祭が開始し、会場には多くの生徒と観覧に来た一般人。そして、多くの貴族や他国の王族たちなどなど、豪華すぎるメンバーが勢揃いだった。
《司会進行は私、魔法科3年、放送部所属。タイルエル・フィガールツがお送りします!》
ハイテンションの進行は、観客席のテンションを上げていく。
選抜メンバーは、各自学科ごとに控室が準備されており、そこで投影魔法を使用して会場の様子が映し出される。若干近未来的に感じるな。
全員が画面に視線を向ける中、部屋にいるトニトルスさんだけがいつも通りの無表情で下を向いていた。
《それでは、各学科のトーナメント表をお見せしましょう!》
空中にトーナメント表が映し出され、合計40名の名前がずらりと並んでいる。
私の名前は、後半の方にあり、ルヴィーとミセリア、シルビアの誰かと戦うとしたら決勝戦。もし決勝に行くとしたら私は合計5試合することになる。
「トレーフル様は1回戦ラストですね」
「うん、そうね。みんなと戦うとしたら決勝か」
「そうなるな」
決勝までに戦う相手の中には、ナターシャ先輩がいて、顔を見ると顔面蒼白していた。
先輩が勝ち進めば2回戦で当たることになる。
そしてもう一人、順調に進めば準決勝であたる相手。
「トニトルスさん」
声をかければ、俯いていた顔が上がり、いつも通りの無表情な顔が私に向けられる。
「順調にいけば、準決勝で当たるね」
「……そうですね」
「私は、貴女が上がってくると思ってるから」
「確信のない言葉ですね。お気づきですか?今貴女は、自分は絶対に準決勝に上がると言ってるんですよ」
「うん、そうだね」
「……はぁ。貴女こそ、人としてどうかと思います。その発言は、ここに長く在学する先輩たちに喧嘩をうったことになりますよ」
わずかに感じる視線に、私は後ろを振り返る。
ルヴィーたちの視線はもちろん、先輩たちの視線も私に向けられる。
確かに、あまり褒められた発言ではない。でも、正直私は自信を持って口にできる。
「えぇ、そうね。馬鹿にしてると思われるかもしれない。でもね、正直私は自分が優勝できる自信しかないの」
にっこりと笑みを浮かべてそういえば、ルヴィーたちは苦笑い。先輩たちは私を睨みつけ、ナターシャ先輩は顔面蒼白状態だ。
まぁ色々なしがらみを乗り越えたせいで、一学生相手に恐怖も負けるイメージも湧かないのは事実だけど。
《それでは!まずは魔法科からトーナメントを開始します!選手の皆さんはご準備ください》
そして、いよいよ舞台の幕があがる。