189話:動き出す次の事件(???視点)
しんと静まり、そしてどこか重く、背筋がゾッとする空気を纏う廊下を一人の執事が歩みを進める。
長い長い廊下を進み、目の前の大きな扉の前で歩みを止めると、ゆっくりと扉が開いた。
扉を潜り、また少しばかり長いまるで血のように真っ赤なレッドカーカーペットの上を進むと、彼は目の前の玉座の前で膝をついた。
「ご報告いたします。 中央国「サージェント」より、剣舞祭への招待状が届きました」
「サージェント……あぁ、そうか。もうそんな時期か」
「今年はいかがいたしましょうか」
「そうだな」
玉座に腰掛ける男は、自身の伸びた顎髭を何度も撫でながら考えていた。
膝をつく執事は、男の言葉が返ってくるまで顔を上げることも口を開くこともしなかった。ただただ冷や汗が流れていた。
「準備を初めて随分経つ。残念ながら一体は国外に逃げられたがすでに準備は整っているに等しい。動くなら今年だろう」
「では……」
「あぁ、今年は参加すると返事をしておけ」
「かしこまりました」
ふっと一息をつき、執事はゆっくりと立ち上がろうとした。
しかし……
「あぁそうだ」
次の瞬間、執事の首が地面に落ちる。
首だけではない、両腕、両足、胴体も真っ二つにされてしまった。
「誰が口をひらくことを許可した」
玉座から立ち上がった男は、その残骸に近づき、床に落ちた手紙を拾い上げて再び玉座に戻る。
「片付けておけ」
男の言葉で、そばに控えていた他の使用人が、そのスクラップを袋に詰めていく。
全てを回収し終わると、王に一礼をしてその場を後にする。
「さて、今年の祭りは楽しいものになるな」