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186話:剣舞祭、1年選抜メンバー

翌日、学園に登校した生徒たちは、挨拶の後に各々の休みの出来事を話したり、お土産を渡したりとしていた。

私はすでに寮で済ませていたし、シルビアやアンジュとは昨夜たくさんお話ししたので、話す相手は男性陣であるルヴィーとキリク、ミセリアの3人だった。


「業務ご苦労様です、殿下」

「心にもないことを言うな」

「酷いなー。休みなのに、次期国王としての業務をこなす従兄への労いの言葉を」

「嫌味にしか聞こえないぞ」


いつもの従兄妹同士の会話に、他の四人もほっこりとした様子で眺めており、そんな様子を当巻に他の生徒たちが憧れや尊敬、下心を抱きながら眺めていた。

なんだか学園に戻ってきたって感じがする。

ただ、そんな和み空間も今だけ、すぐにでも生徒間で緊張感が駆け抜ける。

2学期開始の全生徒の集会。

騎士科と魔法科両方が一つの部屋に集められ、壇上で校長先生が挨拶をする。

いわゆる始業式だ。

いつもであれば眠くて仕方がないが、この始業式ではある発表がされるため、普段眠いはずの校長の長々とした話を真剣な表情で聞いていた。


「それではこれより、10日後に開催される剣舞祭の各学科、各学年の発表を行う」


いよいよだと、先ほど以上に生徒たちに緊張が走る。

1年生は今年初めての剣舞祭と言うことで「楽しみだ」と言う雰囲気があるが、上級生たちにとってはすでに経験したことがあるイベント。そして、ここで名前を呼ばれると言うことは、1年間の自分の努力が評価されると言うこと。だからこそ、1年に比べて名前を呼ばれる重みをしっかりと実感している。


「ではまず、1年騎士科の選抜メンバーを発表する」


発表の順番は騎士科から。そして、下級生から行われる。

一人、また一人また一人と名前が呼ばれる。

どう言う順番で呼ばれているのだろうかと思っていたけど、彼が呼ばれないことはないだろうと思った。


「5人目、ハーヴェンク・カルシスト」

「はい」


ハーヴェがその場で立ち上がり、軽く一礼をする。

ちょっとヒヤヒヤしたけど、無事に彼が名前を呼ばれて良かった。

そして次に私たち魔法科1年の名前が呼ばれる。


「1人目、ミセリア・フィデース」

「は、はい!」


慌てながら勢いよくミセリアが立ち上がり、勢いよく頭を下げる。

まさか自分の名前が呼ばれるなんてと思ったのか、驚いてるみたいだけどやっぱり嬉しかったのか、涙を浮かべながら笑っていた。


「2人目、ルーヴィフィルド・サージェント」

「はい」

「3人目、シルビア・ガーデンハルク」

「はい」

名前を呼ばれた二人は立ち上がって一例と礼儀カーテシーを披露する。

当然と言うように、拍手の中で他の生徒たちが小声で話しているのが聞こえた。


「4人目、トレーフル・グリーンライト」

「はい」


自分の名前が呼ばれて、私は立ち上がって礼儀カーテシーをする。

嫌味かもしれないけど、まぁ当然だろう。

そのまま席につき、私は最後の一人の名前を待った。

最後の枠。成績で言えばキリクだが、彼は実践向けではないし、それこそ前に出て戦うタイプじゃない。どちらかと言えばサポートや指揮をするタイプだ。

アンジュも同じタイプではあるが、最近では前に出るための攻撃系の魔法も練習していた。だけどはっきり言って実力不足だと感じてしまう。

だから私は、最後の一人は二人ではない別の生徒の名前が上がると予想した。


「5人目、オリビア・トニトルス」

「はい」


感情のない返事。彼女はスッと立ち上がって礼儀カーテシーをする。

拍手はあるものの、生徒間では少しだけざわめきがした。

おそらく他の生徒はキリクかアンジュ。または上位の伯爵や侯爵家の生徒が選ばれると思っていたのだろう。

だけど私は、おそらくルヴィーもシルビアも妥当な結果だと思っている。

オリビア・トニトルス。容姿自体はかなり地味な見た目だが、それとは裏腹に実技の成績がものすごくいい。

トニトルスは雷魔法を得意とする魔法の名門一族。

知識よりも実践第一の体に叩き込む教育方針のため、勉学以上に実践の才能が飛び抜けている。

授業で何度か彼女の魔法を目にしたが、その技術と威力は相当なものだ。


「それでは次に、2年騎士科の選抜メンバーを発表する」


その後は先輩たちの選抜メンバーが発表される。

2年騎士科にはウエンディー様の名前が、3年騎士科はエリオット。そしてクロイツ様の名前が上がった。ちゃんと実力はあるようだ。

魔法科で知った名前といえば、私に毒を盛ったナターシャ先輩も選抜メンバーに選ばれていた。なんだかんだ実力のある先輩のようだ。


「以上で式典は終了する。選抜メンバーはこの後剣舞際について説明を行うため、残るように」


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