表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/486

153話:白い少女3

どれだけ戦っただろう。

相手は幼い少女。でも、中身はとんでもない存在。

勝てそうなのに勝てない。それが酷くもどかしい。


「トレーフル殿。娘は救えないのか……」


まだ気持ちの整理ができていないのか。戦う意思も、逃げる意思もない雨龍様は、ただぼんやりとリネアを見つめるだけだった。


「確かにあれはあの子じゃないかもしれない。でも、それでも……」


雨龍様の気持ちはわかる。でも、どうすることもできない。

助けようにもその方法がない。でもそれは、封印も殺しも同じだ。どうすればあれを止められるのか、その方法が私にもわからない。分かれば、どうにかして私はそれを実行するのに。


「ぐっ……」

「ハーヴェ!」


剣はリネアが触れれば折れてしまう。折れるたびに新しい剣を握るが、今彼が握っているのが最後の剣だった。

体力も限界だ。

私も、何度も魔法で援護しているけどすぐに壊されてしまう。聴覚遮断の魔法も、今は使えてない。

こんなこと何度も続けていれば魔力切れになるし、その前にハーヴェが死んでしまう。

どうすれば……なにか、なにか……



――― そいつを叩き割れば、その瞬間おいらたちが召喚される



ふと思い出したその言葉に、私は無意識にポケットに手を伸ばした。

問題解決するかわからない。でも、ただの人間の私たちにできなくても、人間ではない彼らならどうにかできるかもしれない。

これは賭けであり、そうであってほしいと言う願いだ。


「助けて……助けてください!」


ポケットから石を取り出し、地面に向かって思いっきり叩きつけた。

その瞬間、急に風が蠢きはじめ、砕けた石が淡く光り始める。

パッと目の前で魔法陣が展開されて赤く強い光が放たれた。


「ふわぁ……まだ昼間だって言うのに、呼び出すなんてひどいなぁ」


甲板で聞いたその声が不意に聞こえた。

徐々に弱く光の中から彼らが私たちの前に姿を現した。


「やっほートレーフル。早い再会だね」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ