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15話:緑の庭と白いドラゴン2

私の腕に収まるほどのサイズの白いドラゴンは、なんだか弱っているようだった。

力なく、何度も鳴き声をあげていた。


「ホワイトドラゴンじゃないですか!?」

「ホワイトドラゴンて、神獣の?」


神獣についてはこの前授業で習った。

神が生んだ7体の獣。それを総じて神獣と呼ばれている。

その一体が、このホワイトドラゴンだ。しかし、確か書物では体長は何十メートルと書かれていたけど、この子は随分小さい。


「子供ですね。それにしてもどうしてこちらにいるのでしょう?」

「確かに。本来神獣はこちらとは違う世界で生きているはずですが」

「迷い込んじゃったのかな?それになんだか弱ってるし」


とりあえず、私は魔法で小さな水の玉を使ってホワイトドラゴンの口元に持って行く。水の気配に気づいたのか、ずっと目を伏せていたドラゴンの目が開き、その水の玉をパクっと食べた。う、可愛い。


「姉様。トマト食べるでしょうか?」

「ありがとうアル」


アルが持ってきてくれたトマトを口元に持って行けば、何回か匂いを嗅いだ後にトマトをむしゃむしゃと食べた。白い口元が少しだけ赤く染まる。それをドレスで綺麗に拭ってあげた。

メイド数名が慌てていたけど、服ぐらいまた洗えば問題ない。


「どこからきたの?家族とはぐれちゃったのかな?」


優しく頭を撫でてあげれば、ドラゴンは私にすり寄ってきた。

本来神獣は警戒心が強い。私たち人間が近づくどころかその姿を目にすることはまずない。

特にホワイトドラゴンは「家族愛」の象徴と言われるほどに、自分の子を大事にしている。少しだけも自分の子供に危険があれば、その原因を容赦無く破壊する。

きっと、今頃血眼になった探してるだろう。


「ここにきたってことは近くに亀裂があるかもしれないから探さ……」


その時、私の後ろで空間がガラスのようにキラキラと輝きながら縦長に砕けた。

突然のことで思わず振り返ると、乱反射する空間の破片の先、亀裂の中から大きな鋭い爪を持った手が伸びてきて、私の体を鷲掴みにした。


「姉様!!」


腕は私を中へと引きづりこもうとした。すぐ側にいたアルが手を伸ばしてきて私はすぐにその手を取ろうドラゴンを抱えながら手を伸ばした。

ギュッと手を握ることができたが、幼い子供の体では私を助けることができず、二人一緒に亀裂の中へと連れて行かれた。


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