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14話:緑の庭と白いドラゴン1

時は巡り、すっかり暑い季節になった。

体を動かせば普段よりも汗を流す量も増えて、水分を取る回数も増えてくる。ジュースや冷たい紅茶が体に染み渡る。後、水分の多い食べ物も最高。最近は隠れてトマトにかぶりついてる。


「今日はこのぐらいにしましょうか、トレーフル様」

「うん、ありがとうジルク」

「この後はどうされますか?」

「体を綺麗にしたら、アルのところに行くよ。そろそろ庭の方に行くだろうし」

「わかりました。それじゃあアニー、トレーフル様のこと任せたよ。俺も体洗ったらすぐに行く」

「わかりました」


うんうん、この二人もいい感じになってきた。

ジルクは、アニーを様付けしなくなったし、敬語もなくなったな。アニーもだいぶ慣れてきて普通に話してる。まぁ身分の差があるからこっちは敬語だけど。

もっともっと二人の仲が深まって、将来的に結婚。子供が生まれたら名前をつけさせて欲しいなぁ。

なんてことを、考えている間に、いつの間にかお風呂に入れられ、髪も綺麗にされて、しっかりと服も着せられていた。まさに、いつの間にか。


「よし、じゃあお庭に行こう!」


厨房でお弁当を受け取り、屋敷の端にある庭へと足を運んだ。

そこにはたくさんの草花が咲き誇っている。

数ヶ月前に、魔法の特訓のためにお父様がアルに与えた敷地だった。

アルは土魔法を得意としていたため、その特訓のためにとお父様が好きに使っていいとくださったのだ。

土をアルの魔法で耕しい、氷魔法の応用で、私が水を霧状にして撒いて、そして出来上がったのがこの庭だ。

元々アルは植物や虫に興味を持っていた。この庭を作ったことで、より一層関心が湧いたようだった。


「アルー」


使用人と一緒に庭の手入れをしているアルに声をかければ、満面の笑みを浮かべて私の元に走ってきた。

あぁ可愛い。


「お弁当持ってきたから一緒に食べよう」

「はい!いただきます!」


まだ幼い弟。遊び盛りだろうけど、それ以上に草花に興味津々。将来はここの後継者兼研究者になりそうだ。


「随分暑くなって、雑草も伸び放題でしょ」

「はい。でも、雑草にもいろいろ種類がありますし、何より虫もいっぱいいます!」


うん、目をキラキラ輝かせてるのはいいけど、話の内容はまさに男の子。どうしてこの年頃の子は虫が好きなんだろう。まぁたくましく育ってくれるのは嬉しいけど。


「水やり必要だったら言ってね」

「ありがとうございます。姉様も、稽古などで忙しいのに足を運んでくださりありがとうございます」

「いいのよ。可愛い弟の顔を見にきてるんだから」

「……えへへ。僕も姉様に会えて嬉しいです」


あぁこのへにゃっとした笑顔可愛い……いっぱい頭撫でたり抱きしめたくなっちゃう。将来、立派なシスコンに育ってくれ。可能であれば、ハーヴェと敵対してくれ。あ、これ私の願望ね。


「キュー……」


その時、不意に何かの鳴き声が聞こえた。

それは私だけに聞こえた幻聴ではなく、アルや側にいた使用人達にも聞こえていたようだった。

辺りをキョロキョロとして入れば、庭の隅。前世であったサルビアに似た赤い花の側に、白い塊の姿があった。

慌てて駆け寄れば、それには二枚の翼があり、少し太い尻尾、光に輝いてキラキラ輝く鱗がびっしりとあった。

今まで見たことがない生き物。だけどとても美してく、思わず目を奪われてしまう。

そして私はそれを知っている。前世でも今世でも伝説上の生き物とされている存在。


ー白いドラゴンだった。


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