13話:幼いキャラ達2
精霊の話をすれば、やはり話題は自然と精霊の話になる。
サイズはどれぐらい、どんな見た目なのか、何が好きなのか。とても子供らしい会話内容で私はなんだかほっこりする。
ルヴィーが魔法は使えるのかシルビアに尋ねたが、彼女はまだ精霊から力を借りて魔法を使うことができない。
精霊が見える=精霊師というのは少し認識が違う。
精霊が見えるというのはもちろん特別なことだ。その中から精霊に力を借りて魔法が使えるのはほんの一部。精霊と仲良くなり、彼らに信頼される必要がある。彼女は今、その仲良くなる段階というわけだ。
「そうだ。この前シルビアと話してたときに、見えない人も精霊が見えるようにするにはどうしたらいいのかって話してたの」
「それはロマンチックだね。僕もシルビア嬢と同じように精霊が見えるようになりたい」
「しかしそれは可能なのか?精霊が見えるということ自体特別なことなのに」
「うん。まぁあくまで方法があればって話なんだけどね」
ガーデンハルク家には精霊に関する書物がシルビアのために用意されている。きっとその中にヒントがあるかもしれない。
ルヴィーとハーヴェに今度調べることを話せば、ハーヴェは自分も参加したいと言った。ルヴィーはお城の書庫にもしかしたら別のものがあるかもしれないからと、そちらで調べるそうだ。
流石に、二人も精霊には興味があるのだろう。子供らしく、わずかに目を光らせていた。
「せっかくだし、少しお庭を散歩しない?」
「いいね。食後の運動でもしようか」
「そうだな。シルビアはどうする?」
「ぜ、是非!」
メイドたちに片付けを頼み、少し離れたところから護衛騎士に監視されながら4人で一緒に庭の中を歩いた。
前をルヴィーとシルビア。その後ろに私とハーヴェが歩く。ふと、前を歩く二人が本編時の姿で、仲良く歩いてるように見えて、思わず笑みがこぼれた。
「楽しそうだね」
そんな私に、隣にいたハーヴェが声をかける。
楽しいというよりは、嬉しいって感情の方が正しいかな。
私が生んだ、私の登場人物。私が描いた世界ではこんな風に仲良く並んで歩いていなかった。だけど今、私が求める幸せな二人の姿がいる。
「二人が仲良しなのが嬉しいの。二人とも、大事な子だから」
本編までまだまだ先の話で、その時どうなっているかはわからない。完成されてはいないけど、作品の強制力が発動するかもしれないし、ちゃんと世界として存在していて今までの行動がちゃんと結果として現れるかもしれない。
この世界に生まれ変わった私は、作者として、そしてそれを壊した人間として見届ける義務がある。
「二人だけ?僕は大事じゃないの?」
「ハーヴェは……そうね、二人の次ぐらいには大事かな」
「あはは、そっか。じゃあ僕は二人と同じか、二人以上になれるように頑張るよ」
「……そう、頑張って」
この時点で彼が私に好意を持っていることは痛いほどわかる。嬉しいことだけど、私は彼の好意を受け止めることができない。それは、やっぱり前世のことがあるからだろうか。
彼に浮気されて、そんな彼に殺されたから……まだその恐怖心があるのかもしれない。
彼と彼は違う。わかってはいるけど、とりあえず今は、申し訳ないと思いながらもその好意から目をそらすことにした。
「お二人ともー」
「おーい、何してるんだ。さっさと来い」
いつの間にか前を歩いていた二人とかなり距離が離れてしまっていた。
慌てて走り出そうとしたけど、ハーヴェが私の手をギュッと握ってきた。
「慌てるところぶよ」
「……平気よ。駆け回るのは慣れてるから」
「あはは、とんだおてんばだね。でも、元気な子は好きだよ」
そう言いながら、彼は私の手を引きながら一緒に二人の元にかけて行った。