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128話: 作戦会議1

あの後、ヘルガに手伝ってもらって、アニーを部屋まで運んだ。

まずは身近な人間に相談すべきということで、ルヴィー達に今回のことを話すことにした。

善は急げということで、その話す場を明日にでも準備することにしたので、明日の準備をお願いした。

朝になり、アニーはなぜかベッドで寝ていたことに驚いていた。誰かに襲われた覚えがあると話していたが、私は誤魔化して帰ってきたら寝ていたと伝えた。

そして、何事もなく学園に登校し、騎士科のハーヴェも含め主要メンバーに放課後集まるように集合をかけ、そして今に至る。


「レーフ。お前、入学当時俺が言ったことを覚えているか」

「任せて、記憶力はいいからしっかり覚えている!」

「なら!なぜ他国の問題にお前が巻き込まれてる!しかも、こんな大きな問題に」


ことの事情を、1から10説明し、当然みんな驚いているが、我先にとルヴィーが私を叱りつけた。

私だって好きで巻き込まれたわけじゃない!結果として首を突っ込んだが、でも最初は私じゃないからセーフだ。


「それについては申し訳ありません、ルーヴィフィルド殿下。我々の事情にトレーフル様を巻き込んでしまって」


ちなみに前世のことについてはまだ話してない。これは私だけじゃなくてアンジュも関わってくることだから、アンジュが大丈夫だというのであれば話すつもりではいる。


「正直、学生である俺たちの領分じゃない。国……世界の問題になってくる。申し訳ないが、父上に事情を話して父上たちに対処を……」

「あーあ、いうと思ったよ」


まぁルヴィーの判断は正しい。普通そうなる。でもそうなると、フィデースは滅ぼされ、王族は全員もれなく処刑。ミセリアを生かすためにはそうするべきではない。


「ヘルガは、王族をどう思う?嫌い?」

「ミセリア様の……弟の前ではあまり言いたくないですが、正直嫌いです。というか、頭のおかしい別の生き物のように感じます」

「ミセリアは?母親はともかく、父親とか兄弟は好き?」


そう尋ねると、ミセリアは少し俯いて考えていた。きっと過去のことを思い出しているのだろう。

今までずっと偏った考え方をしていて、でもそれがおかしいことだと知って、改めて周りのことを考えて、父親や兄弟。使用人や騎士、貴族や平民まで、国民全てのことを思い出す。


「好き、とかはなかった、と思う。兄さんたちは正妻の子で、俺は、側室の子だから、兄弟間に溝があった。父上もそうだ。好きというよりも、認められたいって気持ちの方が大きかったと思う」

「じゃあ、その認められたいと思う相手が罰せられることに対して、嫌だって気持ちはある?」


ミセリアはまた考えた。だけど、さっきよりも早く彼は答えを出した。首を振って、罰せられて仕方がないと。でも、自分もまた同じだというがそれは違う。

少なくとも今は、彼の父親や兄弟とは違う。世界のために、それを止めようとしている。


「うん。なら、私はミセリアが殺されないように事を終わらせようと思う」

「そうは言ってもどうするんだ。作ってるものを壊すって言っても大きすぎることだぞ」

「殿下の言うとおりです。私たちでは、どうすることもできませんよ」

「うん。だから、行動するのは私たちで大人たちにはその手助けをしてもらおうと思ってるの?」

「手助け、ですか?」


うちの国は、東の大国とは交流がある。その証拠に、この国には私やアンジュの前世の調味料である、味噌や醤油がある。幼い頃にシルビアと食べた抹茶のお菓子も、その交流によって手に入れたものだ。

東の国は初代聖女や勇者からの知識で生まれた国と言われており、建築物も江戸時代を思わせるような建物が多くあるそうだ。

交流があるからこそ、東の国の品がこちらに流れてくるし、ミセリアがこの学園に来れたのもそう言う交流のおかげだ。


「まずは、陛下やお父様に事情を説明する。で、東の大国にレインウィークの間、旅行という形で滞在させたいと手紙を書いてもらう。もちろん、本来の目的はフィデースのことを話すこと」


で、東の大国に協力してもらい、ミセリアとヘルガには事前に聖女と勇者を見つけたことをフィデースの王様に伝え、翌日には国に足を運ぶ。

そして、タイミングを見て魔法陣を壊し、合図を出して東の大国の兵士たちが攻め入って王族を捕縛する!

と、まぁ当然ことがそううまくいくはずはないけど、おおかた私が考えてるのはこんな感じ。

当然みんなもそううまくいくはずがないと口にするが、東の国のことは東の国に任せるしかない。でも、ただ陛下が事情を話してしまうとミセリアまでもが処罰される。処罰が何もないとはいかなくても、今回の計画のことを話し謝罪、自らの手で計画を壊すことで彼の罪が少しでも軽くなるよいにしたい。


「それで、少なくても4人。ミセリアとヘルガと一緒に東に行く必要がある」


うち二人は聖女と勇者。うち二人は、護衛という形だ。まぁ国に入った瞬間、護衛はお払い箱にされる可能性もあるが、その時は透明化の魔法を使って侵入すればいい。


「当然だが、その4人にお前は含まれているんだな」

「もちろん。一応ミセリアたちに協力するって言ったし、この計画の言い出しっぺだしね」


それでも「ダメだ!」とか言われそうだけど、流石にみんな私の性格を知ってるようで、誰も止める人はいなかった。呆れてはいたけど。


「なら、私は聖女役で参加します!」


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