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114話:ルルテーラ姉弟

お腹もいい感じに満たされ、先生が片付けをしている間、私は休憩をしていた。

そういえば、ルルテーラ侯爵家の子供はバイエルン先生とイルミナティ先生の二人。家は基本的に男が継ぐのだから、バイエルン先生が後を継ぐのだろう。なのに、先生は今教師をしている。

お父上が亡くなった話も聞いてないし、年齢的にも後を継いでいておかしくないはずだ。


「先生、ご実家の方はいいのですか?」

「ん?」

「あぁいえ。ルルテーラ侯爵家は男性である先生が継がれると思うのですが、今こうして先生をされているので。お父様が、まだ管理されているのですか?」

「あれ、てっきりトレーフル様はご存知かと思っていました」


少し長くなる話なのか、私の前にまたカップが置かれる。

今度はオレンジ色の紅茶。香りはフルーティーで。好みの匂いだ。

一緒に出された小さなカップには透明な液体。先生はそれをカップに入れて軽くかき混ぜる。すると、オレンジから色が赤くなり、香りがイチゴのような、たくさんのベリーを詰め込んだ匂いが漂った。

一口口に入れた瞬間、匂いと同じ、たくさんのベリーの味が広がった。あぁこれもいい。後でこれももらおう。


「実は僕、すでに結婚してるんです」

「え!?」

「僕だけはなく、姉さんも」


えぇ!?バイエルン先生が結婚してるのも驚いたけど、あのアマゾネスのようなイルミナティ先生も結婚してる!?え、相手どんな人だろう。


「大々的に行ったわけではないから、知られてないとは思っていたけど、まさかトレーフル様も知らないとは」

「初耳です……長いんですか?」

「ここに赴任する前からだからそうだね。さっき言ってた後継についても、すでに僕が当主と言う立場だよ」


だけど。と先生は続けた。

先生は領地のことにはあまり興味がない。全くないわけではないけど、好きなことを疎かにしてまでそちらを優先にすることに、かなりモヤモヤしていたようだった。

ルルテーラ侯爵家は少し特殊な家で、国の端に領土があるが、管理している領土は二つ。一つは、魔物が蔓延っている領土。もう一つはたくさんの薬草が採取できる森のある領土。それぞれの領土を、先生たち二人が管理していたそうだ。

でも、バイエルン先生は後を継いだことで薬草の領土と一緒に両方の領土の最終責任者となった。好きな実験も全くできないほどに忙しかったそうだ。


「そんな時に、学園長から誘われてね。でも、もう後を継いでるし、せっかくの誘いだったけど断ろうとしたんだ。だけど、色々と妻にはバレていたようでね」


領土のことは自分に任せて欲しいと、先生の奥さんは背中を押してくれたそうだ。

元々先生の奥さんは男爵ではあったが、その管理能力の高さを見込んで彼の父親が縁談を持ってきたそうだ。

ちなみに、イルミナティ先生も似たような感じだそうで、その旦那さんは次男だったそうなので、婿養子で嫁ぎにきたそうだ。


「で、今は両方の領土の管理を僕の妻が。魔物のが出る領土は姉さんの旦那が。薬草の領土は僕の息子が管理しているよ」

「へぇーそうな……ん?息子?」

「ん?あぁ実は僕、息子が一人いてね。僕なんかよりもしっかりしてる子なんだ」


えへへ。と先生は照れているけど、どう見ても先生の見た目年齢は20代前半ぐらい。なのに、領地の管理をする息子がいるということは、少なくともすでに20歳にはなってるはずだ。


「先生って……いくつなんですか?」

「ん?聞くのは野暮ってものだよ。まぁ、色々薬草を体内に入れているせいなのか、実年齢よりは若く見られるかな」


笑ってるけど笑い事ではない気がする。

結婚が知られてないということは、少なくとも身だしなみを整えればイケメンになる先生はとんでもなくモテて、求婚などされるだろう。大丈夫かな……

ちなみに、ルルテーラ侯爵家が結婚式を挙げなかったのは、式をあげるぐらいなら領土をより良くする!ということだったそうだ。

とはいえ、一応しっかり身だしなみ整えて写真一枚は撮ったそうだ。

身だしなみを整えた先生も気になるし、今度写真見せてもらおうかな。

後、イルミナティ先生がドレスとタキシードどっちを着たのかも気になるから、そっちも見せて欲しい。


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