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11話:精霊姫とのお茶会3

そして、シルビアはシルビアになった。

緊張していた最初の彼女はいなくなり、会話の数も増えて、笑顔も増えた。

今でも十分楽しいけど、もし私にも精霊が見えたらもっと楽しいだろうな……。

設定では、精霊が見える方法は考えてなかった。精霊が見える人は特別。それは、神に選ばれた人の力だから選ばれなかった人には許されない行為だ。

だけど、彼女と共有したい。精霊を……


「シルビアは、精霊について詳しい?」

「自分のことなので、色々と調べはしました。読めないところも所々ありますが」

「じゃあさ、見えない人にも見えるようにする方法とかってあったりするのかな?」


私がそう尋ねれば、シルビアは驚いたような表情をした。

きっと、そんな風に言われたのが初めてだったのだろう。両親からも、使用人からも、シルビアが見ているものを見たいと彼女に言ったものはいなかったのかもしれない。


「見たい、のですか?」

「うん。シルビアが見ている世界を、私も見たいの。共有できたら、もっとシルビアと仲良くなれると思ったからね」

「……そんな風に言われたのは初めてです」


彼女は俯いてしまったが、口元がとても嬉しそうに笑っていた。不快に思わせてないようでよかった。

しかし、シルビアも見えない人が見えるようになる方法はわからないそうだ。一応精霊にも聞いてくれたけど、どうも彼ら彼女らもわからないそうだ。


「調べておきます!」

「いや、私が調べるよ。私が見たいって思ったんだから」

「私も調べます!家には、お父様が私のためにと色々な国から精霊の本を集めてくださったんですよ」

「ほぉ。つまり、精霊の図書館ということか。いいなぁ」

「……あ、あのでは……次は我が家にいらっしゃいますか?」


少し恥ずかしそうに、ほんのり顔を赤く染めながら恐る恐ると言った感じで誘ってくるシルビア。

え、なに……かわいい……抱きしめたい。思いっきり抱きしめたい!!もう貴族らしくないとか言われてもいいから抱きしめたい!

しかし、外見は子供でも中身は大人。ここは理性的にならなければ。それに、両親も私たちのことを見ているから下手に行動はできない。


「ご、ご迷惑であれば大丈夫です!!」

「そんなことないよ。あ、そうだ。そのお茶会は二人の方がいい?さっき話してた、ルヴィーとのお茶会。精霊のことも話す予定だし、ちょうどいいと思うのだけど」

「あ……そうですね」


あ、これミスったわ。彼女、私と二人っきりがよかったみたいだ。

嬉しいけど……あぁ、こういうところダメだわ私!!


「でもシルビアの家だからシルビアに任せるよ。二人がいいならルヴィーとのお茶会は次でいいし」

「……いえ、大丈夫です。元々お父様から近いうちに顔合わせがあることは聞いていましたので」


それは、婚約はまだだけどその前に顔を合わせるということか。

んー、実際は二人っきりの方がいいんだろうけど、まだルヴィーはシルビアが精霊が見えることを知らないし、シルビアも相手が王子できっと緊張するだろうし……まぁ誤解が解けるまでは私が間に入るのが無難かな。


「わかった。じゃあ、帰る前にガーデンハルク公爵……シルビアのお父さんに相談するね」

「許してくださるでしょうか……」

「慣れるまでだよ。ルヴィーも親しくない相手には口が悪くなるから。……いや、親しくても口悪いか……」

「……ふふっ」


その後は、また話が変わって別の話になり、楽しい楽しいお茶会はあっという間に終わってしまった。


「トレーフル様。今日は娘をお茶会に誘ってくださり、ありがとうございます」


帰る前に、大人たちが集まってお茶をしていた部屋に集まり、今度は家族全員でのお話をした。とは言っても、長居はしないため、お茶会の三分の一ほどの時間だけだ。


「良ければ、次回は我が家でお茶会をいたしませんか?」

「そのことで、公爵に一つご提案というか、許可をいただきたいのです」

「許可、ですか?」


私は、先ほどの話を公爵にした。

精霊についても、包み隠さず話した。公爵は真剣に話を聞いてくださった。私の両親は、シルビアが精霊が見えることに驚いていたが、私の提案に納得してくれた。


「如何でしょうか?」

「ふむ、そうですな……」

「お父様、私からもお願いします。トレーフル様がいらっしゃれば安心です」

「ふふ、随分となついたみたいね。どんな話をしたのかしら」

「お母様。トレーフル様はとても素敵な方ですよ」


純粋無垢な笑顔。どうしよう……あの子の中で私がとんでもなく美化されていたら……やめてシルビア……私を美化しないでぇ……。


「トレーフルは、最近殿下とも仲がいい。それに加え、今日のお茶会でシルビア嬢とも随分親しくなったようだ。いきなり二人っきりよりはいいんじゃないか?」

「そうだな……」

「一回ではなく、慣れるまでは3人での席を設けます。将来的に婚約を結ぶ予定であるのなら、私は全力でお手伝いします」


そう。二人が幸せになるために私は全力で二人の仲を深め、周りから認められ、割って入ることができないほどに仲のいいカップルにしてみせる!!


「わかりました。では、よろしくお願いいたします。トレーフル様」

「任せてください。お茶会の日取りが決まったらご連絡ください。ルヴィー……殿下には私からお伝えしますので」

「娘のことをお願いします」

「いえ。ただその……恐らくなのですが……」

「どうかされましたか、トレーフル様」

「今回のお茶会。もしかしたら3人ではないかもしれません」


私の予想が当たれば、このお茶会のことは彼の耳にも入るに決まっている……そしてもちろん……


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