107話:翌朝
体が何か柔らかいものに支えられている。
ほんのり温かい何かが体を包んでいる。
心地いい……そういえば、私、なんでここにいたんだろう……
確か、授業で森にいて……
ゆっくりと目を開ければ、豪華な天井が目に入った。
ぼんやりと天井を眺めていれば、視界の右側から、ハーヴェが私の顔を覗き込んできた。
「ハー……ヴェ?」
「おはよう、レーフ。気分はどうだい?」
「気分……少し気持ち悪い」
「体は?」
「体……少しだるい」
優しくて温かいハーヴェの声。多くの女性が心と頭を蕩けさせるそれは、今の私にはすごく心地いい。
そういえば、どうしてここにハーヴェがいるんだろう。というか、いつの間に学園に……。
「っ!ハーヴェ、みんなは!?」
記憶を遡り、思い出した瞬間に私はベットから飛び起き、ハーヴェの両肩を強く掴んだ。
焦りで鼓動が速くなり、冷や汗も流れる。もしかしてみんな死んでしまった?私がちゃんと守れなかったから。
「落ち着いてレーフ。全員無事だよ。大丈夫」
「ほん、とに?」
「うん。レーフが防御魔法でみんなを助けたから、大事にはなってない」
体から一気に力が抜け、そのままハーヴェに寄りかかる形になる。
よかった、みんなちゃんと生きてるんだ。
私は、なんとかみんなを守り抜けたんだ。
「みんなアンデットドラゴンの状態異常でまだ眠っていて、今は教会から神官たちがきて治療を受けてるよ」
「そっか……それなら安心だ」
「ただレーフだけ状態異常になってないから。君の場合は、魔力の使いすぎで倒れたってところかな」
そうだ。どうして私には状態異常が効かなかったんだろう。明らかにアンデットドラゴンは麻痺や毒を使ってきたのに、戦いの中でそれを取り込んでもなんともなかった。
「とりあえず、先生呼んでくるよ。誰か目を覚ましたら事情を聞くみたいだったから」
「うん。ありがとうハーヴェ」
「気にしないで。君が目を覚ましてくれてよかった」
ハーヴェは軽く私の額に口づけをすると、そのまま部屋を出ていった。
すっかり外は明るくなっており、今何時かわからないけど、最後の記憶は夜だったから半日は眠っていただろう。
「みんな無事でいて」
大丈夫だとわかっていても、それでもやっぱりみんなのことが心配だ……。