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104話: 一息

倒したハイウルフを空間魔法の中に収納をし、私たちは出口へと向かった。

ただ、思った以上にルヴィーの魔力消費が激しく、すぐには動けそうになかった。

とりあえずどこかで一休みをしようと思い、洞窟を探している途中で見つけた湖に立ち寄ることにした。


「やっぱり唐揚げかと」

「でもシンプルにステーキじゃない?」

「サンドイッチにするのもいいかもですね」


休憩中女子3人は、ハイウルフの肉を食べるならどういう調理方法がいいかを話していた。

洞窟前の会話に参加していなかった3人に話すと、ルヴィーとキリクはあまり気分がいいものではなかったようだけど、シルビアは意外と興味を持っていた。

ということで、女子組で調理方法を話していた。


「そもそもお肉を分けてもらえるかな?」

「確かに。あれだけ大きなハイウルフですから、全部研究に行きそうですね」

「そうなると難しいなぁ……その時は諦めるか」

「他に食べれそうな魔物っていますかね」

「今度先生に聞いてみよう」


無事に試験を終え、日も少し傾き出した。

試験に制限時間はないけれど、全員野宿の経験がない。その上、ここは魔物がいる森の中。ゆっくり眠ることもできない。そうなると、日が沈む前にゴールしなければ。


「ルヴィー、どんな感じ?」

「だいぶ……しばらくは魔法使いたくない」

「ホント申し訳ない」


地面に横になっているルヴィーの隣に腰掛けて湖を見つめる。

魔物が住む森というのに、随分と綺麗な水だった。

一応飲んでも問題ないか調べたけど、異常はなかった。


「ダメだな……改めてお前との差を思い知らされた」

「ルヴィー?」

「あれから特に気にしてなかったけど、こうも目の前で見せつけられると、やっぱりくるものはあるな」


魔法のことだろうか。

まぁ確かに、気にしていないと頭では思っても、感情も同じと言うわけにはいかない。

感情は、人間も生物も関係なく、コントロールが難しいものだ。

私もそう。剣術に関しては、やっぱりまだルヴィーやハーヴェに嫉妬している。


「そうだね。お互い、がんばらないとね」


何が。とはお互いに言わなかった。

それでも、何を思っているのかはずっと一緒にいたのだからなんとなくわかった。

ルヴィーは体を起こすと、そのまま立ち上がって大きく背伸びをする。


「そろそろいくか。日が沈む前に帰んねーと」

「……そうだね」


立ち上がり、ルヴィーと一緒にみんなのところに戻ろうとした。

その時だった。


「っ!」


背筋がゾッとするような感覚がした。

反射的に体を回して、湖の方を向いた。

ついさっきまで美しかった湖は紫色に染まり、ひどく粘度がある水に変わっていた。

一体何が。そう思った時、湖の中から何かが勢いよく姿を表し、雄叫びを上げる。

肉のない骨だけの姿。だけどその形状はよく知っている形状。

肉のない、ドラゴンの骨の魔物。


「アンデット、ドラゴン……」


一部ではSSランクをつけるべきだと声が上がるほどの、通常のドラゴンよりも厄介な魔物だ。


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