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101話: 魔法討伐2

当たりなのはいいけど、私たちはその足跡を囲むように眺める。


「なんか大きくない?」

「大きいですね」

「殿下、確か先生からもらった対象のサイズって……」


ルヴィーはポケットから紙を取り出し、地面に広げてみんなが見えるようにしてくれた。

私たちのパーティーは実力もそれなりにあるので、他のチームよりは少しランクが高い。

ハイウルフもランクCがつけられるほど。

ちなみに魔物ランクは一般的な付けられかたで、Fが最低ランクで、Aが最高ランク。さらにその上がS。今のところSをつけられている魔物はドラゴン種らしい。

さて、話を戻そう。ランクCでもそれなりに高いが、ハイウルフは普通の狼と違い、一匹か二匹で行動をする。

一匹は番のいないメス、またはオス。二匹の場合は番ということになる。

ハイウルフは、強い方がメスを獲得する。オス同士の戦いはとても激しく、相手が死ぬことで勝利となる。そのため、メスよりもオスの数の方が少ないとされている。

今この森にいるハイウルフは1匹と聞いており、性別は希少なオス。だというのに殺していいのだろうか?まぁ相手は魔物だしいいのか?

体調は横幅3メートル。高さは2メートル前後ぐらい。ハイウルフでは一般的なサイズ感。

体に似合わない身軽さとスピード、そして鋭い爪は一太刀浴びれば瀕死になるほどのもの。体もそれなりに頑丈なので、簡単には死なない。

というわけで、それなりに手強い相手である。

だけど、私たちが見つけた足跡はそれにしては3回り以上大きいように思える。


「どうしますか?」

「どうするもなにも、魔物だって生き物だ。想定より大きくなるのは仕方がないだろ」

「想定って、レベルでしょうか?」

「……とり、あえず、いきませんか?出口からだいぶ離れて、いますし、倒しても、すぐに、戻れないです、し」

「そうね。大丈夫、まずいと思ったら想定していた役割は全部無かったことにしてやろう」


えいえいおー!と私が声高らかに進み、そんな私の背中をため息気をついたり、苦笑いを浮かべながらも、彼ら彼女らは私の後をついてきてくれた。

気づかれないように音立てないようにしながら洞窟に近づく。

ハイウルフは狼ということもあり、匂いと音に敏感だ。なので、風魔法を使って地面の上を歩かず、浮いて移動をし、匂いが洞窟に入らないように洞窟とは反対に向かって風を流す。

そうやって移動して何とか辿り着いた洞窟の入り口。中は暗く、奥の方はよく見えない。


「ハイウルフは夜に狩りをします。音で獲物を感知するのですが、進化の過程があったようで、今は夜目もきくらしいです」

「嫌な進化だなぁ」

「とりあえ、想定の5倍の大きさと考えて行動しよう」

「5倍!?」

「そうですね。あのサイズの足跡だとおかしくないですよね」

「ねぇアンジュ」


シルビア、ルヴィー、キリクが真面目に話している中、私はふとした疑問を隣にいたアンジュに尋ねた。あ、後ろにはミセリアもいるよ。


「魔物って食べたことある?」

「……流石にないです」

「じゃあ狼は?」

「いや、当然ありませんよ」

「だよねぇ」


私が何を考えに気づいたのか。アンジュは「確かに」と暗がりの洞窟を見つめ、まだ見ぬ大型ハイウルフの姿を想像する。


「魔物を調理して食べるお話、たくさんありますもんね」

「うん。ゲテモノ料理も実際に存在するし、魔物はどうなんだろう」

「そもそも狼の肉って美味しいんでしょうか?」

「聞かないね。資料のために調べてればよかったな」

「……地域によっては、魔物も、食用とされてますよ」


私たちがそんな話をしている中、その会話を聞いていたミセリアがそう言ってきた。

マジか。と私とアンジュはほぼ同時にミセリアの方を向いた。

何でも、北部や南部の一部の地域では、人が食べれる食料がない上に魔物の出現率も高いらしく、そのため、魔物を討伐すると同時に食料にするそうだ。

確かに、北部では止まない雪の地域、南部では沈まない太陽の地域があると聞く。どちらも人間が生活するには酷な地域と言われているが、魔物を食べることで生きながらえているということか。


「ちなみにミセリアは魔物食べたことある?」

「一度だけ。魔物というか、薬草の分類ですがマンドラゴラを」

「あぁ確か今度授業で触るよね。おいしい?」

「はい。野菜と変わらないです」


へぇ興味深いな。

魔物かぁ……食べてみたいな。狩ったハイウルフの肉、少し分けもらおうかな。

たしか生物学の先生が趣味で魔物たべてたよなぁ……狩った魔物は研究に回されるらしいし、少し分けてもらえないか相談しようかな。

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