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100話: 魔法討伐1

時間はあっという間に過ぎていき、ついに今日は魔法討伐当日。

前日、ハーヴェーに怪我をしないように釘を刺され、部屋を出る時にアニーに心配された。

全く、二人とも心配性だな。

参加する一年生は全員、学園が管理している森の入り口の前へとやってきた。

この森にいる魔物たちは、「捕獲部」という特殊な部活の部員たちによって捕まえられ、学園に管理されている。

こういう一年生の特別授業以外だと、生物学や魔法薬学の授業で使用されたりするそうだ。

ちなみに今日討伐された魔物たちは、もれなく魔法薬学と生物学の研究材料になるそうだ。

そう聞くと、魔物が可哀想に思えてくる。


「試験とはいえ、森にいるのは本物魔物で、いわば実践訓練と同じです。自分の力を過信し過ぎず、無理に倒そうとせず、すぐに逃げてください。並びに、その場で動けなくなったり、何かトラブルがあった場合は、先ほど配った信号弾を空に向かって打つように」


先生たちの念入りな注意事項。

一年生は特にこういう授業で無茶をするのが恒例のようで、毎年誰かしら怪我をするようだ。


「自分の力を過信し過ぎずだってさ」

「無理に倒そうとせず。だそうです」

「すぐに逃げるそうですよ!」


ルヴィー、シルビア、アンジュの私に向ける視線。

くっ、わかってるよ。そんな顔でそんなこと言われなくても、前科もちなんだから。


「ん、ミセリア。大丈夫?」


同じチームメンバーであるミセリアは、なぜかさっきから一言も口にしない。それに、いつものような虚どりがない。おとなしい?


「……はい、大丈夫です。頑張りましょう」

「なぜ敬語?まぁ、いいか。とりあえず、怪我せず頑張りましょう!」


おー!チーム全員で掛け声をあげて、先生の指示に従って森の中に入っていく。

学園の管理している森とはいえ、なんともいえない緊張感を感じる。

至る所から魔物の声が聞こえて、僅かに生徒の悲鳴の声も聞こえる。


「き、緊張してきました……」

「大丈夫ですよアンジュ様。落ち着いて」

「どうだキリク」


探知魔法を使って、キリクが辺りを探る。

授業のクリア条件は、事前に先生に指示された魔物を狩り、その一部を持ち帰ることだ。

私たちの対象はハイウルフ。簡単にいえば、でっかい狼だ。

黒い毛並みで、暗がりを好む。なので、狩りなどは主に生き物が寝静まる夜の時間帯。


「近くにはいません」

「ハイ、ウルフは……洞窟に、巣、を作る、から……今の時間、だと……そこにいる、かも」

「洞窟か……私、ちょっと飛んで探してくるよ」

「え、飛んでって……あ、おい!」


私はそのまま空に飛んでいく。いわゆる飛行魔法だ。

実は、飛行魔法って高度な魔法だそうで、ほとんど使える人はいないそうだ。


「えっと……洞窟なら、段差になってるところとかだよなぁ……」


ぐるりと辺りを見渡し、いくつか目星をつけて地面に降りた。

待たせたなとみんなのところに駆け寄ろうとしたら、ルヴィーに思いっきり頭殴られた。


「いったぁ……」

「おまっ……お前……あああああ!!」


急に叫び出すルヴィー。そんな彼を宥めるシルビア。

どうしたどうした我が従兄よ。そんなに取り乱して。


「まぁ、トレーフル様がもう何をしても自分は驚きませんよ。リアクションをするだけ疲れます」

「それでトレーフル様。どうでした?」

「あぁうん。いくつか洞窟あったよ。とりあえず近いところから潰していこう。探査魔法ですぐに見つけられるけど、ダメでしょ?」


私がそう尋ねれば、ミセリア以外が声を揃えて「ダメ」だと口にする。

正直、この魔法討伐はチームじゃなくても私一人で簡単に達成することはできる。

私の使う探査魔法は探査範囲のものが形としてわかるから、対象物を簡単に見つけられてしまう。

今回の私の役割はあくまで前衛。実際、さっきの飛行での調査も役割外だったけど、そこは多めに見てくれよ。


「ここも違うな」

「あと何ヶ所だ?」

「次が最後だよ。ダメだったら、また探さないと」


いくつか目星をつけた場所はどこもダメで、ここが飛行で確認した中で一番遠い場所。入ってきた森の入り口からもかなり距離がある。

あまり離れすぎると、戻る時大変だよな。


「全員止まれ」


私の前、先頭を歩いていたルヴィーの足が止まる。

どうしたのだろうと思って彼の顔を見ると、下を見るように指示をされる。

そこには、大きな動物の足跡。しかもそれは、今から私たちが向かおうとしているところに向かっていくつもあった。

どうやら、あたりのようだ。


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