輪廻転生アホの子義輝ちゃん
連載中の『輪廻転生アホの子義輝ちゃん』のプロローグみたいなものです。
余は義輝。
よく京から追い出されているの。
今回もなんとか逃げ出した。くそっ長慶めっ!いつか誰かをけしかけて京に戻ってみせてやる。
と思っていたのに、なにか変なところに迷ってしまった。
濃ゆい霧が出たと思ったらすぐに消えたのだが、そのあと酷い目にあう。
野犬が襲い掛かってきて、配下の一人が倒れた。猪が突進してきて配下の二人が吹っ飛んだ。猿の集団が現れて配下の三人がフンドシ姿にされた。
異常な事態に戸惑っているとヒャッハーと叫びながら髷ではない頭部の中央だけ髪を生やして逆立てさせた集団が襲い掛かってきた。
応戦すると違う方向から肩に変なトゲがついた同じ頭の集団が襲い掛かってくる。
しかも全員下がフンドシだ。
配下を多く減らしながらも逃げると村を発見する。
ようやく休める。余が将軍とわかれば村人共はもてなすだろう。そう思っていた。
村は赤フン筋肉集団の巣窟だった。
「良い鎧を着てるじゃねえかぁ。よこせやぁ!」
ヒャッハーと叫ぶ連中より恐ろしい。特に赤フンで先が折れた鍬持つ村人。折れた部分が赤黒く染まった鍬を投げつけてくるのだ。配下に命中すると何故か消えて村人の手元に戻っている。
この村で半数の配下がいなくなった。
その後は獣を従えた変な頭の金のフンドシ男に追われ、目がおかしい白い集団に追われ、変な光を出す女に配下を消された。
もう嫌。
余は一人で生きていく。将軍?もういいよ、ここではそんなものは何の役にも立たない。人はみんな敵、獣は超攻撃的、兎が逃げずに首に噛みついてこようとする場所なのよ。絶対に日の本ではないよ。
小屋を建ててひっそり生きていくの。人怖い、獣怖い、フンドシ怖い。
はぁー松葉のお茶は美味しいなー。
「みぃーつけたぁー」
「ひぃぃぃ!折れ鍬赤フンゥゥンッ」
いつの間にか赤フン筋肉集団に小屋が囲まれていた。
「余はもう将軍はあきらめたよ。もう権力なんていらないのっ。余もう一人で余生を過ごしたいのっ」
跪いて許しを請うが荒縄で縛られる。
余そんなに悪いことしてきたかな。
・・・うん愚痴ばっかり言って人のせいばかりにしてきたね。
今まで見たことない凄い城壁から吊るされた。この城壁があったら余、長慶に勝てたかも。人って最後がわかると冷静になれるのね。
うん余生贄になるのね。城壁の前にはあの恐怖の変な光を出す女がいるもの。うーんでも一瞬であの世に行けそうだからいいのかな。
『『義輝様ぁぁあ!!!!』』
悟りかけていたのに聞き覚えのある声がっ!
「いやあぁぁぁあっ!なんで長慶がいるのおぉっ!?」
余を京から追い出したり戻したりして弄ぶ長慶ぃっ。あともう一人は誰?
「今川治部大輔義元でございますうぅぅ!」
おおっ義元か!でもあいつこの前死んでなかったっけ?
「長慶さんは生かさず殺さずにして喜ぶ義輝さんのストーカー、義元さんは義輝さんに会いに行こうとしてしょっぱな桶狭間で首飛んだから義輝さんに執着しているんだと思ったんだよね」
え?余、この二人をおびき出すために荒縄で縛られているの?
「周平っ!いくらなんでも酷すぎない!?」
変な光を出す女が二人の軍に囲まれた。武士達頑張ってるけどあの女傷一つついてないんだけど。
「勝つ為なら将軍でも使えって言うだろう?」
「言わないよっ!いったいいつ将軍が傍にいるのっ」
折れ鍬赤フンと変な光を出す女が言い争っている。
ああ余こいつらの争いに巻き込まれたのね。将軍の価値ってその程度なんだ。
うん、今度生まれ変われるとしたら、余は人は絶対に嫌。
ジュッ
余、今は鳥なの。
死んだと思ったら鳥になっていたの。
最初は慌てたけど鳥超良い。
空は広くていいなあ。何も襲ってこないから凄く良い。
仏よありがとう余はこの生を満喫して成仏するからのっ。
ん?なにか凄い音が・・・あれは岩?何でここにあるのっここ空だよ!あ、避けられ
グシャッ!
余、今度はウサギになったのじゃ。
もしゃもしゃ草がうまいのぉ~。
なんとなくわかったがこの世界の生き物は、超攻撃的。余以外のウサギは人に突進して首を噛み千切って血を流させるのよ。余には無理じゃ。
この草原で草食って生きていくのじゃ。
「ウキーッ」
ヒィッさ、猿じゃ!こいつらに見つかれば食われる。身を隠して・・・。
なんで余こんなところにいるの?周囲はいろんな動物が囲んでいる。そして正面には余を捕まえた猿。
あ、これ闘えってこと?余ウサギじゃよ?無理じゃよ?あーっせめて首をコキッとして殺してっ!
それから余はいろんな生き物に生まれ変わった。そして短命で死んでいった。
わかったことは余の死には終わりがないこと。死ねば次の生が始まる。
そして余の中身が少しずつ無くなっていく。なにかはわからないがサラサラと消えていった。そしていつの間にか考えることを止めた。死んだ回数を数えるのも止めた。それからどのくらい死んで生き返ったかはわからん。ただ抗っていた時よりも楽に死ねた。
余の中身がほとんどなくなり最後の一粒だけになった時、猫に生まれ変わった。
この生が終われば死ななくても自分が終わる感覚があった。だから寝て終わろうとした。
フシャーッ
猫の喧嘩の声が聞こえる。どうせ最後なので少し興味がでた余はつい見にいった。
そこには野犬に襲われている雌猫、そしてその後ろには数匹の子猫がいた。
自分がやられれば子猫は生きておられず、逃げれば子猫は死ぬ。どちらを選択しても雌猫は子猫は死ぬのに必死に守るのだ。
それを見た余は余はいったい何をやっておるのじゃっ!ただ死を望む生き物なぞ生き物ではないのじゃっ。余は第十三代征夷大将軍義輝じゃっ。
余は野犬に襲い掛かった守ることなどせぬその顔にキズをつけてやるのじゃっ!
どのくらい経ったか余は地面に倒れていた周囲が血まみれじゃ経験上死ぬのはわかった。
ナーウ
雌猫が余の元にやって来る。その後ろには傷一つない子猫達。ふむよかったのじゃ雌猫もたいした傷ではないようだしこれからも生きていけるじゃろう。
ペロペロ
雌猫が余の身体を舐める。そのくらいではもう治る傷ではないのじゃ。こらこら子猫も舐めるでない。
いいのじゃよ余は余を取りもせたのじゃ。助けたのはその礼じゃ。
ふむもう目が見えぬなありがとうなのじゃ雌猫よ。
それからも余は生まれ変わった。ただよを忘れることなくなった。なにか口調が変になったような気もするが気のせいじゃろ。
「う~ん、お?今回は久しぶりに人じゃな!ありゃおなごほうなのじゃ~まあ折れ鍬赤フンはおなごのときはあまり気づかないから大丈夫じゃろ」
それよりもさっさとどうにかして肉を調達して焼いて食わないといけない。人の時にしか出来ぬからの。ただし今回は森の中晩まで生きれるかのう。
さ迷っているとブルルと震える。しょうがないので木の下でシャーッと出す。匂いに敏感な獣には気づかれるがサッサっと遠くに行けばしばらくは生き残れるのじゃ。
そう思って歩き始めようとしたら人が倒れておった。
外見は男でひ弱そう。ただし良い着物を着ておる。余は襤褸切れの着物、この世界は弱肉強食のせかいじゃありがたく頂くとしよう。そのかわりに肉としては食わんでおいてやる。優しいのう余は。
近づいて胸元から脱がそうとしたら
ゴツンッ
目を覚ました男と額をぶつけた。
これが男サクとその相棒ホネ子との出会いに続いていく。まあ余には永遠の輪廻転生があるのじゃたまには誰かに付き合ってもよいじゃろう。
「あ、まてサク余は中は男なのじゃっ!あーっ」
逃げたくなるのう。
連載中の『輪廻転生アホの子義輝ちゃん』のプロローグです。
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