第26話:月の塔、そして…。
地下に降りた4人は、奥の部屋までやって来た。
聖矢「ここに勇者の剣が。」
ナターシャ「行きましょう!」
4人は中へ入って行った。
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中に入ると、中央に剣が飾られていた。
聖矢「これが勇者の剣。」
飾られていた剣は、錆付き、勇者の剣には見えない。
ナターシャ「なんか、ボロボロの剣ね…。」
聖矢は、取り敢えず剣を抜き、構えてみた。
聖矢「すぐ折れそうな気が…。」
4人は、部屋を一通り見ると、地下を上がって行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ツインドラゴン「勇者の剣はあったか?」
聖矢「はい…、これですか?」
聖矢は錆びついた剣を見せる。
ツインドラゴン「だいぶ錆びつきているな…。」
ナターシャ「勇者の剣って、もっと豪華な剣だと思ってたわ。」
ツインドラゴン「錆が取れたら豪華なんだかな…。」
シルフィー「鍛治屋で錆を落としてもらえれば…。」
ツインドラゴン「いや、勇者の剣は、女神の加護が施された剣だからな…。」
ナターシャ「でも、このままだと使えないわよ。」
ツインドラゴン「ドワーフが居ればどうにかなるかもしれん。」
ナターシャ「ドワーフなんて、見たことないわ。」
ツインドラゴン「だろうな、過去に山奥に追いやられた種族だからな。」
聖矢「山奥ですか…。」
ツインドラゴン「ああ、エルネス精国の西方の山にな。」
ナターシャ「エルネス精国なら、フィオナを送る所じゃない!」
聖矢「そっか、そうだね!」
ツインドラゴン「でわ、我は住処へ帰る、呼びたい時は、召喚するが良い。」
聖矢「ツインドラゴンさん、ありがとうございました。」
バサッ、バサッ、バサッ!
ツインドラゴンは、飛び去って行った。
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4人は、塔を出ると、町長の家にやって来た4人。
ドンドンドン!
聖矢「町長さん!町長!」
ドンドンドン!
町長「な、何だね君達は!?」
聖矢「町長さん!、盗賊の頭が居ると聞いて来ました。」
町長「盗賊の頭?」
聖矢「ええ、盗賊の頭が、町長の家に居ると。」
町長「そんな者は知らん。」
聖矢「しかし…。」
町長「知らんものは知らん。」
ナターシャ「では、中を調べさせてください。」
町長「なぜ、他人に中を見せないといかんのだ。」
聖矢「しかしですね…。」
町長「しかしもくそもない、かえってくれ!」
バタンッ!
ナターシャ「どうする?」
聖矢「取り敢えず宿屋に戻ろう…。」
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宿屋に戻った4人は。
聖矢「女神様の話だと、中に居るのは事実だろうけど…。」
ナターシャ「あの感じだと、明日行っても追い返されるわね。」
聖矢「一度、王都に帰って、王様に装弾する?」
ナターシャ「それが、良いかもしれないわね。」
シルフィー「じゃあ、私の転移の加護で。」
ナターシャ「全員で行くのはマズイわ。」
聖矢「逃げられるかもしれないしな…。」
シルフィー「私とフィオナで…。」
ナターシャ「それが良いかもね。」
聖矢「シルフィー、頼むな。」
シルフィー「うん!」
こうして相談は終わり、翌朝になった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
シルフィー「じゃあ、行ってきます。」
フィオナ「行ってくるね。」
聖矢「うん、頼んだよ。」
シルフィー「転移、王都ガイアス!」
シルフィーとフィオナの間に魔法陣が現れ、2人は消えていった。
聖矢「さあ、行こう!」
ナターシャ「うん。」
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聖矢とナターシャは、町長の家を離れて監視する。
……。
家の中から出てくる気配はない。
ナターシャ「誰も出てこないわね。」
聖矢「警戒されてるのか、夜の間に動かれたか…。」
ナターシャ「それだと、シルフィー達が戻ってきても意味がないわよ!」
聖矢「じゃあ、少し試してみるか。」
ナターシャ「何するのよ?」
聖矢「まあ見ててよ。」
聖矢は、小石を2個握ると、ドアに向けて投げつけた。
◆ シルフィー・フィオナ編 ◆
王都ガイアスの、中央広場に転移した2人。
民衆「な、何々!?」
シルフィー「中央広場に転移しちゃったみたいですね…。」
フィオナ「うん。」
シルフィー「お城に急ぎましょう。」
2人は、城に向かった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
城に着いた2人は。
シルフィー「王様に急ぎの報告が有るので中に入れてください。」
衛兵「予約の無い者を通す訳には行きません。」
シルフィー「お願いします、早くしないとグラスの町長が逃げてしまいます!」
衛兵「それでも…。」
ガラガラガラ。
ダルク「シルフィーさんとフィオナさんではないか!」
シルフィー「ダルク様!」
馬車から声を掛けてきたのは、マリアの父『ダルク』だった。
ダルク「もう依頼を解決してきたのか!?」
シルフィー「い、いえ…。」
シルフィーは、ダルクに女神の事は伏せつつ、経緯を説明した。
ダルク「なんと、それは急がないかんの!」
ダルクは、衛兵を説得し、2人は中に入る事ができたのだった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
王様「シルフィーにフィオナではないか、盗賊の件は解決したのか?」
シルフィーは首を振り。
シルフィー「いえ、盗賊の頭の場所は分かったのですが。」
王様「でわ、早く捕らえて参れ。」
シルフィー「町長が、居ないと言ってまして…。」
ダルク「町長の家に入れないようでして…。」
王様「そうか、でわ我が直接…。」
シルフィー「えっ!?」
ダルク「え。」
大臣「はあ、またですか…。」
王様「またとは何じゃ?」
大臣「以前、危険な目に遭った事をお忘れですか?」
王様「今回は大丈夫だ!」
大臣「ダメです。」
王様「我は行きたいのじゃ!」
大臣「いいえ、なりません。」
シルフィー「…。」
フィオナ「…。」
ダルク「数人の兵を派遣で良いのでは…?」
シルフィー「それでお願いしたいです。」
王様「そ、そうか…。」
王様は少しガッカリしている。
大臣「シルフィーよ、何人ほど派遣すれば良い?」
シルフィー「7人ほど、お借りしたいです…。」
大臣「では、用意しよう。」
シルフィー「聖矢とナターシャを待たせているので…。」
大臣「わかった。」
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
1時間ほどが経過した頃、兵の準備が整った。
隊長「シルフィー様、フィオナ様、私がこの隊の隊長です。」
シルフィー「よろしくお願いします。」
シルフィーとフィオナは、隊長と握手する。
王様「でわ、頼んだぞ。」
シルフィー「転移、グラスの町!」
シルフィーとフィオナ、7人の兵士の間に魔法陣が現れ、7人は消えていった。
王様「頼んだぞ…。」
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ドアに向け石を投げた聖矢。
カランカラン!
◆ 聖矢・ナターシャ編 ◆
石を当てて数分。
ガチャ!
???「何の音かしら。」
出てきたのは、町長の妻だった。
町長「何だった?」
町長の妻「鳥でも居たみたい。」
ガチャ!
ドアが閉まった。
聖矢「中に居るみたいだね。」
ナターシャ「このまま監視を続けましょう。」
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1時間が経った頃。
ガチャ!
町長の妻「私は買い物に行ってくるから。」
町長「ああ。」
町長の妻は、出掛けていった。
聖矢「奥さんは出ていったみたいだ。」
ナターシャ「じゃあ、もっと近づきましょうよ。」
聖矢「おいおい、それって大丈夫なのか?」
ナターシャ「この道、誰も通らないから大丈夫でしょ。」
聖矢「じゃあ、僕が周りをかける。見とくから、よろしく。」
ナターシャ「オッケー!」
ナターシャは、町長の家の窓から中を覗く。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
町長「…。」
町長は、黙々と何かをしている。
ナターシャ「何をしているのかしら。」
……。
ガタンッ!
町長は、立ち上がると、奥の部屋に入っていく。
ナターシャ「動き出したわ。」
ナターシャは、すかさず奥の部屋の窓を覗く。
すると、町長は箒を持つ。
トントン!
町長は、天井を小突く。
ナターシャ「何してるんだろう?」
すると、天井が外れ、中から盗賊の頭が降りてきた。
ナターシャ「!!」
町長「お前がここに居る事が、バレたかもしれん。」
盗賊の頭「な、何だと!?」
町長「今夜にでも、町から逃げてくれ。」
盗賊の頭「だ、だか、監視されてるんじゃないのか!?」
町長「今の所は大丈夫だ。」
盗賊の頭「それならいいんだか…。」
町長「取り敢えず、天井に隠れていてくれ。」
盗賊の頭「わかった…。」
盗賊の頭は、また天井に隠れた。
ナターシャ「聖矢に伝えないと!」
ナターシャは、静かに離れた。
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聖矢の所に戻ったナターシャ。
ナターシャ「聖矢、離れよう。」
聖矢「何かあったのか?」
ナターシャは頷く。
聖矢「わかった。 」
2人は、さっきまで隠れていた茂みに戻った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
聖矢「ナターシャ、何があったんだ?」
ナターシャ「盗賊の頭が中に居た。」
聖矢「やっぱり嘘だったのか…。」
ナターシャ「天井裏に隠れてたから、普通には見つけられなかったよ…。」
聖矢「そうか…。」
ナターシャ「シルフィーとフィオナが戻ったら、直ぐに行きましょう。」
聖矢「猶予が無いんだね。」
ナターシャが頷く。
聖矢「ナターシャ、シルフィー達を連れてきて。」
ナターシャ「わかったわ。」
ナターシャは、町の中央へ走って行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
町の中央に、突然魔法陣が現れ、シルフィー達が現れた。
民衆「な、何だ!?」
兵士達「おおっ!」
隊長「着いたのか?」
シルフィー「はい、グラスの町に着きましたよ。」
隊長「転移とは便利なものだな。」
シルフィー「行った事が、無いとダメですけど。」
……。
ナターシャ「シルフィー、フィオナ!」
2人「ナターシャ!」
3人は抱き合う。
隊長「ナターシャさん。」
ナターシャ「え、えっと…。」
シルフィー「王様にお願いした兵士の隊長さんです。」
ナターシャ「なるほど、」
シルフィー「盗賊の頭は居たの?」
ナターシャ「そうそう、だから直ぐ来てほしいの!」
シルフィー「隊長さん、今からでも大丈夫ですか?」
隊長「ええ、その為に来ましたから。」
ナターシャ「では、向かいながら説明します。」
隊長「お願いします。」
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ナターシャが、こちらに向かう頃、町長の妻が走って帰ってきた。
聖矢「気付かれたか…。」
中で町長が慌てているのが見える。
聖矢「みんな、早く来てくれ!」
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ナターシャは、町長の家に向かいながら、説明をした。
隊長「そうですか、天井裏に。」
シルフィー「それなら、拒むのも確かですね…。」
ナターシャ「なので、盗賊の頭の拘束をお願いします。」
隊長「わかりました。」
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
町長の家の前で、聖矢が待っていると。
ナターシャ「聖矢!」
ナターシャがシルフィー達を連れてきた。
聖矢「ナターシャ、シルフィー、フィオナ!」
隊長「聖矢さん、話は聞いております。」
兵士の2人が家の裏へ廻る。
隊長「てわ、盗賊の頭を捕縛しましょう。」
4人は頷いた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
コンコン!コンコン!
……。
コンコン!コンコン!
隊長「町長は居られますか?」
……。
ガチャ!
町長「私が町長ですが?」
隊長「国王の命により、町長宅の捜索を行います。」
町長「私が何をしたと?」
隊長「盗賊団の頭を匿っているとの疑いのためです。」
町長「盗賊団の頭なんて知りません。」
ナターシャ「私が天井裏に匿っているのを見ているわ。」
町長「濡衣だ!」
隊長「口論をしていても埒が明かないので、捜索を行います始めます。」
兵士の2人が家の中へ入っていく。
町長「うぬぬ…。」
兵士A「隊長、中には居ないようです。」
隊長「屋根裏を調べろ。」
兵士A「わかりました。」
兵士が屋根裏に上がる。
町長「うぬぬ、お前達許さんぞ!」
町長は、杖を取り出し。
町長「召喚、ドラゴン!」
聖矢「ドラゴンを召喚!?」
町長「ドラゴンよ、やってしまえ!」
‡ バトルスタート ‡
ーーーーーーーーーーーーーーー
ドラゴン:1000/1000
∧∨∧∨∧∨∧∨∧∨∧∨∧∨∧
聖矢:600/600
シルフィー:600/600
ナターシャ:980/980
フィオナ:600/600
ーーーーーーーーーーーーーーー
聖矢はアイシクルジャベリンをかける。
ドラゴンに130のダメージ。
ナターシャはアイシクルジャベリンをかける。
ドラゴンに170のダメージ。
シルフィーはアイシクルアローをかける。
ドラゴンに110のダメージ。
フィオナはホーリープロテクションをかける。
全員の防御力があがった。
ドラゴンは聖矢を物理攻撃。
聖矢に140のダメージ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ドラゴン:590/1000
∧∨∧∨∧∨∧∨∧∨∧∨∧∨∧
聖矢:460/600
シルフィー:600/600
ナターシャ:980/980
フィオナ:600/600
ーーーーーーーーーーーーーーー
隊長「私も加勢します。」
4人はアイシクルジャベリンをかける。
ドラゴンに560のダメージ。
隊長はドラゴンを物理攻撃。
ドラゴンに40のダメージ。
‡ バトルエンド ‡
ーーーーーーーーーーーーーーー
ドラゴン:0/1000
ーーーーーーーーーーーーーーー
町長「何だと、あっさり倒されただと!」
隊長「捕らえろ!」
兵士C・D「はっ!」
兵士達は、町長に飛び掛かり、捕らえた。
兵士A「盗賊団の頭を捕らえました。」
盗賊の頭「監視されてないんじゃなかったのか!」
兵士A「動くな!」
隊長「2人を王都へ連行する。」
町長の妻「あ、あの…。」
隊長「あなたにも来て頂くが、縄をかけるつもりはありません。」
シルフィー「準備はいいですか?」
隊長「帰りも御願いしてすみません…。」
シルフィー「い、いえ…。」
聖矢とナターシャはシルフィーの手を取り。
聖矢「僕の魔力も浸かってくれ。」
ナターシャ「ワタシのもね。」
シルフィーは頷く。
シルフィー「転移、ガイアス城!」
14人の中央に魔法陣が現れ、シルフィー達は消えて行った。
***************
今回の報酬
特になし
***************
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
名前:光野聖矢
Lv:27
(経験値:206745 )
体力:600
攻撃:100
防御:90
魔力:95
速度:85
幸運:60
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体攻防魔速運
✕✕○✕✕○✕
火水風光闇補回
○○✕○✕✕✕
特殊
調剤・検査・召喚
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
/\/\/パーティー\/\/\
聖矢:lv.27
シルフィー:lv.27
ナターシャlv.38
フィオナ:lv.27
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読んでいただきありがとうございます。
町長は、聖矢と同じ召喚の加護を持つ者だった。
果たして、渡航許可証はもらえるのか?
感想や評価を頂けると幸いです。