第15話:釣り
夜中、聖矢の夢の中。
セシリア「サハギン退治お疲れ様でした。」
聖矢「セシリア様!?」
エミリア「驚いた?」
アリシア「まあ、夢の中に出たら驚くよね…。」
聖矢「はい、驚きました。」
セシリア「本当なら、電話をかけたかったんだけど…。」
エミリア「いつも誰かと居て、1人にならないから。」
アリシア「夢に現れたって訳。」
聖矢「はぁ…。」
アリシア「早速だけど、加護を与えるから。」
エミリア「今回は私も与えるよ。」
聖矢「はい。」
アリシア「私は、防御の加護を。」
エミリア「私は、水の加護ね。」
聖矢「ありがとうございます。」
セシリア「私はお告げを。」
聖矢「はい。」
セシリア「この先、グラスの町で、教会に寄りなさい。」
聖矢「教会ですか?」
セシリア「はい、必ずですよ。」
聖矢「はい。」
エミリア「そろそろ時間みたい。」
聖矢の体が光に包まれていく。
3人「これからも頑張ってねー!」
聖矢は、夢から覚めていった。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
チュン、チュン!
聖矢は、鳥の囀りで目が覚めた。
フィオナ「聖矢、さっき光ってたよ…?」
聖矢「そう、何でだろうね…。」
聖矢は、シルフィーとナターシャを起こさないように、フィオナと部屋の外に出る。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
聖矢「外に出掛けようか?」
フィオナ「うん!」
聖矢は、メイドAに挨拶をして、外に繰り出した。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
村の露店に来ると。
おばさんA「あんた達、サハギンを退治してくれたんだろ?」
2人は頷く。
おばさんA「ありがとうね、これ持ってって。」
露店主A「それ売り物!」
おばさんA「良いんだよ、村の恩人なんだから。」
露店主「商売あがったりだよ…。」
おばさんA「どうせ、売れ残るんだから、ケチなこと言わないの。」
露店主「そんなー…!」
聖矢は、おばさんAから、大根・白菜・人参・馬鈴薯を貰った。
聖矢「あ、ありがとう…。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2人が、港にやってくると、丁度量に出る所だった。
漁師F「おっ、昨日の。」
聖矢「おはようございます。」
フィオナ「おはよう(小声…)」
漁師F「丁度漁に出るんだが、一緒に来ないか?」
聖矢「フィオナ、魚釣りに行くかい?」
フィオナ「行ってみたい…。(小声)」、
聖矢「お願い白黒熊。」
漁師F「おう、じゃあ乗り込め。」
聖矢はフィオナを抱き上げ、船に乗り込んだ。
ブロロロ!
船はゆっくり出港して行った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
晴れ渡る空を見ながら、船は漁場に到着した。
漁師F「ここが俺の漁場だ。」
聖矢「僕も、多分フィオナも、釣りが初めてなんですが…。」
漁師F「おぉ、そうか、取り敢えず竿を持って。」
2人は、渡された竿を持つ。
漁師F「竿に付いてる針に、餌のトビイワシを付けるんだ。」
漁師Fが、針に付け方を教える。
フィオナ「こうかな?」
漁師「そうそう、フィオナちゃん上手。」
2人が、餌を付け終わると。
漁師F「竿を振って、餌を遠くに投げるんだ。」
漁師Fは、大きく振りかぶると、竿を前方に振り下ろした。
シユルルル!
餌が遠くに飛んでいく。
漁師F「さあ、やってみて。」
2人は、勢い良く突いた竿を振った。
ピュルルル!(聖矢)
シュルル、ポチャン!(フィオナ)
漁師F「さすが聖矢さんだ、冒険者として鍛えられてる、フィオナちゃんは、これからだな。」
フィオナ「聖矢、投げて。」
聖矢は、フィオナの代わりに、竿を振る。
シユルルル!
聖矢「はい、フィオナ。」
フィオナは、喜んで受け取る。
漁師F「後は、魚が食い付くのを待っていてね。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
10分程が経ち。
……。
フィオナ「釣れないね…。」
聖矢「そうだね。」
漁師F「もう少し待っててごらん。」
……。
ピクッ、ピクッ!
フィオナ「引いてる!」
漁師F「まだだよ。」
ピクッ、ピクククッ!
漁師F「今だ、引っ張れ。」
グイッ、ピクククッ!
漁師F「さあ、竿の横のレバーを回して。」
クリクリクリ!
フィオナ「固いよ。」
漁師F「頑張れ!」
クリクリクリ!
漁師F「もう少し、もう少し。」
クリクリクリ、ピチピチピチ!
キンサバが釣れた。
フィオナ「やった!」
漁師F「フィオナちゃん、おめでとう。」
フィオナ「食べれる?」
漁師F「生では、止めたほうが良いかな…。」
少し残念なフィオナ。
漁師F「後で美味しい。お刺身をあげるから、どんどん釣っていこう。」
漁師Fは、餌を投げると、竿をフィオナに渡した。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
日が傾き始めた頃、反対側で漁師Fが網を引き揚げる。
ピチピチピチピチ!
フィオナ「お魚沢山!」
漁師F「そうだろ、網だと、一気に沢山採れるんだ。」
フィオナ「お刺身にするのはどれ?」
漁師「お刺身なら、スッポンヒラメかな。」
聖矢「フィオナ、引いてるぞ!」
フィオナ「えっ、ホント!」
フィオナは、慌てで戻り、竿を持つ。
グイッ、ピクククッ!
フィオナ「やった、巻くよー!」
クリクリクリ、クリクリクリ。
漁師F「頑張れ!」
クリクリクリ、ピチピチ!
フィオナ「釣れた!」
ササイワシが釣れた。
漁師F「お刺身で食べるかい?」
フィオナ「食べるー!」
漁師F「じゃあ、お昼ご飯にしよう。」
フィオナと漁師Fは、イケスに向かった。
聖矢は、リールを巻き、2人の後を追う。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
漁師Fは、イケスから、『ササイワシ』と『スッポンヒラメ』と『シロイカ』と『盗賊ガニ』を取り出す。
フィオナ「お刺身、お刺身。」
漁師F「待ってな、急いで捌くからな。」
漁師Fは、軽やかな包丁捌きで、ササイワシとスッポンヒラメを開くと、細かく切って皿に盛る。
聖矢「さすがですね。」
漁師F「長年、漁師してるからな。」
シロイカの胴体から下足を抜き、細かく切って、皿に盛る。
漁師F「盗賊ガニは、最後に出すからな。」
3人は、醤油に付けて食べる。
聖矢「コリコリしてて美味しい。」
フィオナ「美味しい。」
漁師F「そうだろ、盗賊ガニは、もっと美味しいぞ。」
漁師Fは、盗賊ガニの足を折り、身を剥き出し、2人に渡す。
漁師F「身を口に頬張ってごらん。」
2人は剥き身を頬張る。
フィオナ「甘い!」
聖矢「海水の塩気で甘みが増して、とても美味しい。」
漁師F「そうだろ、そうだろ、盗賊ガニは、こうして食べるのが一番美味しいんだ。」
3人は、10分程で平らげた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
その頃、シルフィーとナターシャは港にやって来ていた。
シルフィー「ここにも居ないみたい…。」
ナターシャ「2人は何処に行ったのよ!(微怒)」
シルフィー「何かあったのかな…。」
ナターシャ「聖矢が居るから、大丈夫でしょ。」
漁師長「おや、2人共、どうした?」
シルフィー「あっ、漁師長さん。」
ナターシャ「聖矢とフィオナを見てない?(微怒)」
漁師長「2人なら、漁師Fと漁に出たぞ。」
ナターシャ「漁!?」
漁師長「なんだ、聞いてないのか?」
ナターシャ「聞いてない!」
漁師長「何か、機嫌が悪そうだな…。(小声)」
シルフィー「起こして貰えなかったのが原因かな…。(苦笑)」
漁師長「そっか…、じゃあ、連れてってやるよ。」
シルフィー「本当ですか!?」
漁師長「ああ、ご機嫌斜めで、居られると、気を使うからな。」
ナターシャ「船はどれ?」
漁師長「あれだよ。」
ナターシャは、船に乗ると。
ナターシャ「早く、早く!」
漁師長「ああ、わかったわかった。」
シルフィー「すみません…。」
漁師長の船は、2人を乗せて出港した。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ナターシャが、ご機嫌斜めな事を知らない2人は、漁師Fを手伝い、網を引いていた。
2人「よいしょ、よいしょ。」
ズルズルズル、ズルズルズル。
2人「よいしょ、よいしょ。」
ズルズルズル、ズルズルズル。
漁師F「もう少しだ、頑張れ!」
2人「よいしょ、よいしょ。」
ズルズルズル、ドサッ!
2人「やったー…。」
漁師F「2人共、お疲れ様。」
聖矢「まだやるんですか?」
漁師F「今日は、ここまでだ、仲間が来たみたいだからな。」
ブロロロ、ブロロロ!
2人は、船を見た。
フィオナ「シルフィー、ナターシャ!」
聖矢「2人共ー!(何か、怒ってる…?)」
船が横付けすると、シルフィーとナターシャが乗り込んでくる。
漁師F「ナターシャさん、どうしたんですか?」
漁師長に小声で聞く。
漁師長「まあ、触らぬ神に祟りなしだ…。」
漁師F「はぁ…。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
フィオナ「ナターシャ怖い…。」
漁師長「聖矢、ちゃんと謝っておけよ。」
聖矢「???」
ナターシャ「何で、2人だけで、出掛けるのさ…。(微怒)」
聖矢「どう言う事?」
シルフィー「4人で、お出掛けしたかったみたい…。」
聖矢「気持ち良さそうに寝てたからと思ったんだけど…。」
フィオナ「お出掛けダメだったの?」
聖矢は、フィオナを見て首を振る。
聖矢「ナターシャも一緒にお出掛けしたかったんだって。」
フィオナ「そうだったの!?」
聖矢「2人で謝ろうか?」
フィオナ「うん。」
2人「ナターシャ、シルフィー、ごめんなさい、…。」
聖矢「2人には、埋め合わせをするから、許して…。」
ナターシャは、背中を向ける。
聖矢「あらら…。」
フィオナ「これ、美味しいよ。」
フィオナは、ナターシャに盗賊ガニの剥き身を渡す。
パクッ!
…。
ナターシャ「美味しいじゃない…。」
フィオナ「まだあるよ。」
パクッ、パクッ、パクッ!
ナターシャ「これで許した訳じゃないからね…。」
聖矢「わかってるよ…。(食べながら言われても…。)」
4人は、漁師Fの捌いた魚介を堪能した。
≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈≈
漁師F「日も暮れかけたし、帰るか。」
漁師長「そうだな、仲直りもしたみたいだし。」
漁師F「さあ、3人は乗った乗った。」
漁師長「聖矢、話があるから、お前はこっちな。」
聖矢「あっ、はい。」
漁師F「漁師長、お先に行きます。」
漁師長「ああ。」
ブロロロ、ブロロロ!
漁師Fの船は先に港へ戻って行った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
聖矢「漁師長さん、話って何ですか?」
漁師長「実は、漁師達から、用心棒になって欲しいと、話が出てな。」
聖矢「用心棒ですか?」
漁師長「バザルの町長の護衛の冒険者だから、無理じゃないかと言ってはいるんだか…。」
聖矢「今は無理ですかね、護衛もそうですが、エルフの国に行く目的もありますし…。」
漁師長「フィオナちゃんかい?」
聖矢「はい…、後、最終目的は、魔王討伐を頼まれているので…。」
漁師長「魔王討伐!?」
聖矢「はい。」
漁師長「魔王って、復活したのか!?」
聖矢「僕は、依頼されただけなので、わかりません。」
漁師長「魔王が復活したのなら、王に知らせなければ…。」
聖矢「まだ、復活したかどうかも…。」
漁師長「ま、まぁ確かに。」
聖矢「もし復活をしていて、魔王を討伐出来た時は、また言ってもらえたらと。」
漁師長「わかった、その時はお願いしよう。」
話が終わると、漁師長は、船を発進させた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
漁師長の船が港に戻ると、先に帰った3人が待っていた。
聖矢「ふぅ~、疲れた…。」
シルフィー「お話って何だったんですか?」
聖矢「宿屋に帰ったら話すよ。」
ナターシャ「どうせ、村に居てくれって事でしょ。」
聖矢「あはは…。(鋭い…。)」
4人は、漁師達に挨拶をして、宿屋に帰った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
4人「ただいま。」
メイド達「おかえりなさいませ。」
メイドA「お食事なさいますか?」
聖矢「はい、部屋に戻るとお願いして良いですか?」
メイドA「わかりました。」
4人は、部屋に入った。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ナターシャ「さぁ、漁師長の話をして。」
聖矢「ああ、わかった。」
フィオナ「眠い…。」
シルフィー「ご飯になったら、起こしてあげるから、寝てて良いよ。」
フィオナは、布団で眠ってしまった。
聖矢「話は、ナターシャの言った事とほぼ同じで、村で、用心棒をして欲しいとの事なんだけど。」
シルフィー「何て答えたんですか?」
聖矢「今の護衛もあるし、フィオナをエルフの国に送る目的もあるからと…。」
ナターシャ「まあ、妥当な答えね。」
聖矢「僕には、他の目的もあるから。」
シルフィー「他の目的?」
聖矢「でも、信じて貰えないだろうし…。」
ナターシャ「勿体ぶらずに言いなさい。」
聖矢「じゃあ、女神様って信じる?」
シルフィー「女神様?」
ナターシャ「3大女神の事?」
聖矢「うん。」
シルフィー「確か、『セシリア様』、『アリシア様』、『エミリア様』でしたっけ?」
ナターシャ「その女神様がどうしたのよ?」
聖矢「女神様からの依頼難だよね…。」
ナターシャ「女神様が、この前まで、初心者だった聖矢に、何で?」
聖矢「実は、僕は、異世界から来たニンゲンなんだ。」
シルフィー「異世界?」
聖矢「そう、前にいた世界で死んで、女神様に会って、依頼されて、この世界に来たんだ。」
シルフィー「何だか、夢のような話です…。」
ナターシャ「まあ、それが事実だとして、何の依頼をされたのよ。」
聖矢「魔王討伐…。」
シルフィー「えっ?」
ナターシャ「魔王討伐?」
聖矢「うん。」
シルフィー「今、ゾンビ魔王は封印されて居ませんよ?」
聖矢「漁師長からも言われた。」
ナターシャ「居ない魔王を討伐って…。」
コンコン!
メイドA「皆様、お食事をお持ちしました。」
聖矢「どうぞ。」
ガラガラガラ。
メイドB「今晩のお食事は、『ハナダイの炊込ご飯』、『シロイカのフライ』、『ササイワシのつみれ汁』です。」
メイド達は、手早く机に並べる。
ガラガラガラ。
メイドC「ごゆっくりどうぞ。」
メイド達は、部屋を出て行った。
シルフィー「フィオナ、晩ご飯だよ。」
フィオナ「んん、ご飯…。」
シルフィー「そうだよ、座って。」
4人は、晩ご飯を食べ始めた。
ナターシャ「このフライサクサクで美味しい。」
聖矢「この、炊込ご飯、ハナダイの塩加減が。」
フィオナ「この団子美味しい。」
シルフィー「これはね、つみれって言うんだよ。」
ナターシャ「つみれ汁も、ダシが利いてる。」
4人は、ワイワイ話しながら、晩ご飯を完食した。
ナターシャ「まあ、魔王の事は、一先ず保留にして寝よう。」
フィオナ「魔王?」
シルフィー「うん、聖矢がね、魔王を倒すために旅を始めたんだって。」
ナターシャ「魔王は封印されて居ないんだけどね。」
フィオナ「魔王、居るよ?」
聖矢・シルフィー・ナターシャ「えっ!?」
フィオナ「誰かが封印を解いたみたい。」
ナターシャ「何でフィオナが知ってるの?」
フィオナ「エルフの国で噂になってたから。」
シルフィー「それって一大事だよ。」
聖矢「漁師長に伝えないと!」
ナターシャ「でも、伝えるのは明日にしよ?」
聖矢「まあ、慌てても仕方ないしね。」
4人は、食器をメイド達に渡し、眠りに入った。
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
名前:光野聖矢
Lv:23
(経験値:51385 )
体力:470
攻撃:70
防御:55
魔力:65
速度:60
幸運:45
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体攻防魔速運
✕✕○✕✕○✕
火水風光闇補回
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特殊
調剤・検査
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
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今回の報酬
特になし。
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/\/\/パーティー\/\/\
聖矢:lv.23
シルフィー:lv.23
ナターシャlv.35
フィオナ:lv.22
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読んでいただきありがとうございます。
釣りをした2人を対象に、起こるナターシャ、埋め合わせは何をするのか…。
感想や評価をいると幸いです。