序章:死亡、そして強制転生
森の奥、若い男が、追手から逃げている。
パキューン、パパキューン!
追手「待てー!」
サッサッサッ…。
若い男「わっ!」
男が石に躓き、ズッコケた。
追手「追い付いたぞ、観念してブツを渡せ!」
男は、ブツを抱え込み、後ろに下がる。
若い男「渡すものが!」
追っ手がジリジリと詰め寄り、銃口を向ける。
若い男「くっ…。」
男は撃たれ頭が真っ白になった…。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
謎の女「さあ、目覚めなさい…。」
女の声が聞こえる。
若い男(あれ、俺は撃たれたはず…。)
男の意識が徐々に回復してくる。
謎の女「目覚めるのです。」
また女の声が聞こえ、男は目を覚ました。
一面真っ白の中、髪の長い女が立っていた。
謎の女「やあ、死後の世界へようこそ。」
3人の女性が前に立っている。
………。
少しの沈黙が流れ込んできた。
若い男「はあ…、貴女方は?」
男はキョトンとしながら尋ねる。
謎の女A「私達は女神、私は創造神セシリア。」
謎の女B「私は、愛の神アリシア。」
謎の女C「私は、命の神ミエミリア。」
若い男「女神様でしたか、僕は光野聖矢と言います。」
聖矢はお辞儀をする。
セシリア「なんだか、冷静な反応ね…。」
エミリア「もっと驚いてくれると思ったのに…。」
アリシア「姉さん、エミリア、早く本題を…。」
エミリア「えー、もう本題に移るの…、姉さんはいつもせっかちなんだから。」
アリシア「なによ、時間がないんだから、急ぐの当然じゃない!」
ガミガミガミ…。
アリシアとエミリアが言い合いを始めた。
聖矢「ちょっと女神様、言い合いは止めて下さい…!」
聖矢は両手で宥める。
セシリア「二人共、お止めなさい、さもないと消すわよ。」
二人はビクッとし言い合いを止めた。
セシリア「お見苦しい所を見せてごめんなさいね。」
聖矢は首を振る。
セシリア「聖矢、異世界へ行ってる、魔王を倒してきてくれないかしら?」
聖矢「異世界!?魔王!?」
アリシア「あらら、頭にハテナが沢山…。」
セシリア「説明がストレートだったかしら…。」
エミリアは、聖矢の手を握り。
エミリア「聖矢さんなら、きっと大丈夫ですよ!」
突然、聖矢の体が光りだした。
セシリア「そろそろ時間切れですね。」
聖矢「えっ、時間切れ!?」
セシリア「新しい世界へ!」
アリシア「スリルある冒険へ!」
エミリア「希望あふれる未来へ!」
セシリア・アリシア・エミリア「出発!」
光が全体を包み込む。
聖矢「俺、まだ行くって言ってなーい!」
光が収まると聖矢は消えていた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
チュンチュン…。
鳥の囀りが聞こえ、聖矢は目を覚ました。
聖矢「んん…、ここは…。」
聖矢は大きな岩の上で寝ていたようだ。
聖矢「異世界なのか…。」
ブルルル…、ブルルル…。
突然ポケットが震えだした。
聖矢「な、何だ!?」
聖矢はポケットから震える物を取り出すと手の平サイズの巻貝だった。
聖矢「貝?」
聖矢は、恐る恐る先端の光る部分を押してみた。
エミリア「ヤッホー、エミリアだよー!」
聖矢「女神様ー!?」
エミリア「無事に着いたみたいだね。」
聖矢「ええ、多分…。」
アリシア「エミリア、代わって…!」
エミリア「えー、まだ話したいのにー!」
セシリア「取り合いするなら、まだ今度ね。」
セシリアはエミリアから何かを取り上げたようだ。
セシリア「聖矢さん、無事に到着されて良かったです。」
聖矢「あの、セシリア様、この貝は何ですか?」
セシリア「貝型の携帯電話ですよ。」
聖矢「電話ですか…。」
普通の答えを返され、聖矢は思った…。
聖矢(使い難っ…!)
セシリア「エミリアがデザインしたんですよ、可愛いからと。」
聖矢「確かに可愛いですね…(使い難っ…!)。」
内心でまた思った。
セシリア「まずは、岩の前の道を北に道なりに行けば町がありますよ。」
聖矢「はい、進んでみます。」
ピッ!
聖矢は電話を切ると、言われた通り道なりに歩く。
聖矢「とても気持ちのいい陽気だな。」
ガラガラガラガラ…。
聖矢「おっ、荷馬車だ。」
聖矢の横を荷馬車が通り過ぎる。
ガラガラガラガラ…。
謎の男「どうどうー…。」
少し先で荷馬車が停まり、男がこちらへ歩いて来る。
謎の男「おい、旅人かい?」
聖矢「ええ、この先の町へ。」
謎の男「ここは魔物が出るから、一人だと危険だぞ。」
聖矢「向こうから歩いて来ましたが、一度も遭いませんでした…。」
謎の男「そりゃ偶々だ、町までなら乗せてってやる。」
聖矢「あっ、ありがとうございます。」
聖矢は、お辞儀をすると、男と荷馬車に乗り町へ向かうのだった。
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聖矢:lv.0
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読んでいただきありがとうございます。
これからの光野聖矢の冒険を、楽しみにしていてください。
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