燃えて消えていく少女
あるところに、暗闇で冷たい世界があった。
人々は、見渡せない世界で凍えていたが、そこには、自分の命を燃やす事ができる少女がいた。
命を燃やすと、光と温もりが満ちるため、多くの人が助かった。
けれど、命は無限ではない。
ずっと燃やし続けていた少女の寿命は、尽きようとしていた。
最期を引き延ばそうとした少女は、どこからか寿命を調達してきて、命を燃やし続けた。
それすらもなくなったら、体も心も、体力も記憶も薪として使って、燃やし続けた。
そうして最後に残った命は、多くの人を救った事実と共に燃え尽きていった。
少女は聖人となって、多くの人の心に残る事になった。
人々は感謝し、多くの者を与えられた。
だが、少女は失うばかりであった。