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꙳★*゜悪役令嬢が悪役令嬢たる所以

気づいていらっしゃらない方がいるかもしれないので、ここでひとつ訂正をしておきたいのだが、私ことアリシアは「悪役令嬢」であることを否定したことがないのだ。


お菓子は独り占めしたいし、靴音は高く鳴らしたいし、なんならドSであることになんの恥じらいもない。


しかし、それは相手がドミナントである時のみ、御相手として遊んであげる姿勢があるだけで、望まれてもいないのに他人の菓子なんて欲しくもないし、靴音が高いのはその方がエレガントだからだし、サービスする側だという自覚を持ってしてのSだ。履き違えないでいただきたい。


だからといって、貶められるのも御免こうむる。


そんな私の日常は1歳頃からすでに記憶としてあり、幼児期のある日突然「攻略本」と出会うことで一変した。


この高貴で可憐な私が、つまらぬ楚辞をして死ぬ。


信じられないが、記憶として蘇ってきた前世のゲームが恐怖を煽った。

兎に角、粗を探そうと攻略本をひっくり返して自分との差異を探そうにもまず、年齢差があってなにがなんだかの状態であった。


黒目、黒髪、美少女。


傲慢、我儘、ドS。


以上であるが、チャートに波がありすぎて、合点が行き過ぎである。

おいおいと泣くような人間でなくてよかったが、攻略本を覗いてみれば、私の人間相関図には攻略対象と呼ばれる人間が多すぎた。このままでは、ただ安穏と過ごしているだけでデッドエンドだ。しかも、一族諸共である。寝覚めが悪すぎる。

これが乙女ゲームというやつなのか?とよろけてしまいそうだ。こんなものの何が楽しくて少女たちはお小遣いをだしているのか皆目見当もつかない。

そもそも、私はゲームより小説派だ。

全くもって訳が分からない可哀想な私の為にか、「攻略本」があるのだ。

電子にはない紙の安心感といったらない。

これをもって、私はにっくき運命と戦うことを決意した。


私が私であるままにして、この運命、変えてくれよう。


必ずや、死から免れてみせる!


ぎゅっと攻略本を抱きしめて今夜も眠る。


昼間は凛とした美少女が、夜には本を抱きしめて眠る姿にグラグラきてしまうモブもいることを、悪役令嬢は今日も知らない。


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