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ごきげんよう、ごきげんよう、と笑顔で挨拶をする世界が目の前に拡がっている。
勿論アリシアもその郡勢のひとりとして、立派に身も知らぬ人々に笑顔を返していく。
「ごきげんよう、皆様。」
一人一人に返すにはアリシアに対する挨拶があまりにも多くて、一度に返してしまった時だ。小さな違和感があった。
十把一絡げに頬を染める群衆の中に、数名、表情が違う者がいた。
それは、好意もあり、嫌悪もあり。
だが、確実に群衆、と定義する人々とは違うレスポンスだった。
その後続くイベント、攻略本で読み込んだ入学式の通り、生徒代表をエイベル・ディオンが行い、姫の紹介があり、滞りなく筒がなく1日のイベントは終了した。
が、この時本来なら主人公が登校時点で姫に見染められてご学友ポジションに入り、代わりにアリシアが抜けることになっていたのだが、主人公は式が終わるまで姿を見せなかった。
アリシアが抜けることでより主人公へのいじめを熱くさせる展開だというのに、こちらとしては警戒していた分容易にストーリーから外れられて、有難いがどこか拍子抜けだ。
この1日で分かったことは、人には区別をつけねばならないことだ。
差別は良くない。差別ではなく、区別だ。
なぜなら、朝、挨拶を交わしたものと会話をしたときに違和感があるのだ。表情が硬いわけではないのにずっと同じであったり、同じ話題をずっとループしていたり。いわゆる村人A。モブだと気づくのに暫く時間を要した。なぜなら、ローラン家で暮らしている間にそのような者には、使用人に至るまで出会ったことがなかったからだ。彼らは彼らの時間を生きているのだと思っていた。ここはゲームの世界なのだと痛感した出来事になった。
ループする会話に付き合ってはいられないため、ある程度のところでお暇するようにした。そうしていると、中にはループしないグループや、ループしていても話に起伏があるグループに気づく。
そんなグループの人間は、みんな、顔立ちがハッキリしていて、それぞれ個性があった。
例えば、エイベル・ディオン、ルシウス・カーティ、そして先ほど紹介されたばかりではあるがずっと存じ上げていた4年間の学友となる「姫」といったメンツだ。
彼らほど濃くなくとも、何かが印象に良く残る…と思っていた人々が、クラスに行ってみたら級友として机を並べていた。
本来なら、講堂で会っていた主人公も同じクラスの筈で、しかもストーリー上アリシアが虐めやすいように席は隣で、主人公の逆隣はストーリーが発展しやすいようにかエイベル・ディオンだ。
だがその席はいつまでも埋まることなく、ついに1日を終えてしまった。
ここで姫のご学友としては、学内を見回ったりするのかもしれないが、その好奇心旺盛な姫が「疲れた。」と言い残して帰ってしまったものだから、急に体が空いてしまった。
だから、ほんとうに、ただの思いつきであった。
職員室の場所を確認するついでに、たまたま見かけた担任に声をかけたのは。
そして、流石姫のご学友〜といったテンプレートの賛辞を受け、数種類のプリントと共に主人公の家の前に立っている。
こんなの攻略本に載っていませんでしたが何ルートを歩もうとしているのですか?




