▼中村悠●cv
ついにこの日がやってきた。
「喜べ!アリシアちゃんの結婚相手が決まったぞ!」
「ラインシュファルツですか?」
「?どこの貴族だ?」
「なんでもありません」
ルシウスの名も上がっていたが、私が渾身の我儘を発動させて御遠慮申し上げた婚約者騒動は、父の辣腕と母の手腕によってかき集められた情報を精査した上で振るいにかけられ、交渉を重ね、ついに決着してしまったらしい。
「顔合わせをしようと先方とお話し合いをしてね、今週末に向こうのお家におよばれすることになったから、ママとアリシアちゃんはそのつもりでいてくれるかな。」
「はい。わかりました。アリシアちゃんいーっぱいおめかししましょうね!」
「…はい。」
ここまで長くもなかったが、そこそこの抵抗をした所で、父に問い合わせた相手方の特徴は完全にゲームの中のアリシアの婚約者に合致する。
よくもまぁ、決まりきっていたとはいえ、あんなパーフェクトな人種を見つけてきたものだと父には感嘆するが絶望もする。そんなこの心親知らず、父はパーフェクトな婚約者を見つけたと御満悦だ。
せめて、予習をしてなんとか破談に持ち込めないかと愛読書を勢いよく広げ、既に何度も見た婚約者のページを舐める様に見回していく。
そこで、ひとつの事が気にかかった。
これは、いけるかもしれない。
当日までにきちんと行えるように手筈を調えるべく、キッチンへと向かった。




