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【WEB版】追放魔術師のその後 ~なんか、婚約破棄されて、追い出されたので、つらい貴族生活をやめて遠い異国の開拓村でのんびり生活することにしました~  作者: 砂糖 多労
なんか、戦争が始まったらしい

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思わぬ人との再会、そして……②

「この者への褒美は私から間違いなく取らせるので、代わりに我が主の傷を癒やしていただけないでしょうか?」

「ほう?」


 騎士はアニキから見てもガタガタと震えていた。

 こんな騎士でも天誅は怖いのか。


(まあ、無理もないか)


 騎士はアニキたちよりずっと強いが、天誅はこの騎士と比べ物にならないくらい強い。

 何人もの騎士がいても歯が立たなかった魔物をたった二人で倒してしまったのだ。

 指先一つで騎士を倒してしまってもおかしくない。


 自分より強い存在を恐れるのは当然のことだ。

 ……それにしても震えすぎな気がするが。

 騎士の鎧が立てる音が耳障りで、攻撃されたりしないよな?


 アニキが恐る恐る様子をうかがっていると、天誅の二人は顔を寄せ合い、内緒話を始めた。


「(どう……しょう?)」

「(この主ってい……が友……可……は?)」

「(……わかり……ん。でも、違……場合は……)」

「(もともとこ……り治して帰る……りが魔物が攻……きてたから行き当たりば……りになってるんだ。この……………てもいいんじゃ……か?)」

「(そう……ね)」


 騎士が震えで鎧がガタガタ言っているせいでところどころしか聞き取れない。

 だが、漏れ聞こえてくる単語を聞いた感じ、感触は悪くはなさそうだ。


 少し離れているアニキにも鎧の建てる音が聞こえてくるくらいだから、鎧を着ている騎士本人には全く聞こえていないだろうが。


 これで決着がついてくれるとアニキとしても助かる。

 こんな危なそうなやつらにかかわってたら命がいくつあっても足りない。


 しばらくして、話し合いは終わったらしく、天誅の二人が一歩アニキたちに近づいてくる。

 恐怖が一周したのか、騎士の震えもぴたりと止まった。


「良いでしょう」

「!! ありがとうございます!」

「ただし、約定を反故にした場合は。わかっていますね?」

「はい! 我らの主はこちらです」


 騎士に先導されて天誅は去っていく。

 このまま見送ろうとすると騎士に縋るような表情で見つめられた。

 ついていかないとダメだろうか?


 でも、ここでついていかないと褒美がもらえない可能性がある。

 騎士様がアニキのような一般兵のことを覚えていたりはしないだろう。


 そうなると困るのはアニキだけじゃない。

 騎士も困ったことになってしまう。

 最悪、騎士が約束を破ったことを怒り、王都が天誅によって焼け野原にされるかもしれない。


 目の前の天誅は噂より普通そうに見えるが、残念なことに報復が絶対ないとは言い切れない。

 アニキがどう思おうともだ。


(嫌だなぁ)


 アニキは渋々騎士たちの後を追った。


 アニキたちの後ろを潰れた蛙のような這いつくばった格好のままでアニキの弟分がついて行っていたのだが、アニキはそのことに最後まで気づかなかった。


◇◇◇


『信じられない!』


 マーレンは夢を見ていた。

 ミーリアが婚約破棄される直前の夢だ。


 夢の中では、激昂するマーレンをミーリアが優しく諭していた。


『回復魔法が使えるからって、あんな女を選ぶだなんて!』

『仕方ありませんよ。実際、回復魔法は殿下の覇道に必要不可欠ですから』


 今でもこの日のことは覚えている。

 この日、王子は翌日のパーティにミーリアをエスコートしないと告げてきた。

 翌日のパーティは多くの貴族が参加するもので、殿下が参加しないとは思えない。


 つまり、王子はミーリア以外の誰かをエスコートするつもりなのだ。

 婚約者であるミーリアを差し置いて。


(いくら側室に迎えるつもりがあるからって、ミーリアより優先するなんて信じられない!)


 まず、始まりからしてあり得なかった。

 あの王子は公衆の面前でイオという下級貴族の令嬢に婚約を申し込んだのだ。


 ミーリアという婚約者がいるにもかかわらずだ。


 たとえ、側室候補にするにしても普通は親を通して婚約の打診をするし、その際に婚約者の家にも許可を取る。

 それ以前に、婚約者であるミーリアに相談があってしかるべきだ。


 それをあの王子はミーリアの家どころか、ミーリア自身も蚊帳の外にして勝手に話を進めてしまった。


『絶対なんとかしてあげるからね! ミーリア!』

『マーレン。私は大丈夫ですから。危ないことはしないでください』


 ミーリアはいつも「危ないことはしないで下さい」と言って何かしようとするマーレンを止めていた。

 それは初めに王子がイオに求婚したときからずっとだ。


 もっと早くに動いておけば、結果は違ったのかもしれない。


 この時もマーレンは何も行動しなかった。

 マーレンは知らなかったが、もしかしたら、この時すでに婚約破棄の打診がきていたのかもしれない。


『私に回復魔法が使えなかったのは神の決めたことです。神が決めたことだから、仕方ないですよ』

『ミーリア』


 ミーリアは諦めたように微笑む。

 マーレンはミーリアをぎゅっと抱きしめた。


『マーレン?』

「大丈夫。私がずっとそばにいるから』

『……ありがとうございます』


 私は少し震えるミーリアをぎゅっと抱きしめた。


(あの時の約束、守れなかったな。だから、罰が当たったのかも……)


 その直後、マーレンの意識はゆっくりと覚醒していった。


 おかげさまで本日6月9日にコミックス2巻が発売となりました。

 この巻にも私の書下ろしの小説も載っています。

 レインたちが楽しく遊んでいる話です。

 よければ読んでみてください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新ありがとうございます。次回も楽しみにしてます。
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